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児玉化 Research Memo(3):2019年3月期は事業・資本構造の改革により、収益回復基調へ


■業績動向

1. 第1四半期実績と2019年3月期見通し
児玉化学工業<4222>の2019年3月期第1四半期決算は、売上高が4,558百万円(前年同期比0.8%減)、営業損失は69百万円(前年同期は42百万円の利益)となった。経常損失は107百万円(同44百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は134百万円(同88百万円の損失)といずれも赤字幅が拡大している。

セグメント別に見ると、自動車部品事業は、国内外ともに好調に推移した。発注先のトラックの大型モデルチェンジに伴い、一時的に混乱が生じながらも、三次元加飾工法やガラス繊維マットプレス工法などによる新製品の貢献によって全体的には拡大。海外では、プミポン元国王の逝去の影響で低迷していたタイ向けが、喪明けとともに自動車生産が回復したことで黒字基調となっている。

他方、住宅設備・冷機部品事業は、海外では冷機部品が順調に推移したものの、国内の住宅設備が低迷。その大きな要因として、大口顧客の体制見直しに伴い、受注減が響いた。エンターテイメント事業も、ゲームソフトパッケージの低下で、減収減益を余儀なくされている。ゲームソフトもソフト販売の遅れが要因と会社側ではみており、一時的な落ち込みとなりそうだ。

会社側では、今期の滑り出しからの回復基調を見込んでいたものの、トラック関連品の一時的な停滞や、住宅設備部門の発注減少への対策がこれからとなることから、全社的な収益回復基調の軌道に乗るのは下半期からとなり、それが数字となってはっきり現われるのは来期になりそうだ。

2019年3月期の通期見通しは、売上高が19,000百万円(前期比4.8%減)、営業利益は前期比約3倍の350百万円、経常利益は200百万円(前期は276百万円の損失)、当期純利益は100百万円(同213百万円の損失)を想定しているが、上半期がつまずいた格好となったため、目標値の達成は微妙となる雲行きだ。

2. 進展する構造改革
長く収益の悪化に苦しんできた同社だったが、直近2~3年で構造的な改革に着手し、それがこの上半期に一巡して筋肉質の経営体質に変わる一方、取扱製品を取り巻く環境の好転によって、数字的に悪い時期は当上半期、その影響が残る今期通期となり、来期以降は新技術の開花もあり、本格的な回復に向かう可能性が極めて高くなってきた。以下、時系列に着手した構造改革に関して解説してみる。

同社は、2016年3月期に債務超過となったものの、これは会計上の純資産を637百万円と計上したところ、東京証券取引所の内規によって、非支配株主持分647百万円を引く必要があり、結果として、東証の基準で10百万円の債務超過に転落。この判定によって、上場廃止基準に係る猶予期間に入った。

しかし、インドネシア子会社であるEcho Advanced Technology Indonesia(インドネシア)の株式の一部譲渡によって出資比率を60%から39.2%に引き下げ資本構造を改善。持分変動利益として321百万円を計上した。さらに、自己資本の増強として、第三者割当による新株予約権を発行し、2017年3月期中に新株予約権の行使により172百万円の増資を実施したことにより、2017年3月期の純資産は1,274百万円で債務超過を解消した。

さらに、Echo Advanced Technology Indonesiaについて残りの出資部分を2018年3月に2億円で完全に譲渡。完全にインドネシアから撤退した。これは同社にとって苦渋の決断となったものの、自動車に関して言えば、新技術を活用した高付加価値品により販売が拡大する見込みの日本、プミポン元国王逝去の1周忌以降、需要が上向いているタイに経営資源を集中することで、全体で上向きが期待できる状況に変化している。

資本政策では、2018年9月6日割当日で2回目となる第三者割当による新株予約権を発行した。これによる資金調達額は1,130百万円。前回が借入金返済を優先、債務超過解消を目的とした、言わば後ろ向きな調達だったものの、今回は新技術製品を拡大させるための設備投資を目的とした前向きなものと言えるだろう。

一方、生産体制の抜本的な見直しに乗り出したことも見逃せない。住宅設備部門の減少に伴う固定費削減を、現場工程の大幅な見直しでカバーする一方、これまで事業部ごとに独立して管理していたのを、10月1日に生産本部を設立し一元管理化。これまで住宅設備を製造していた工場で需要が拡大している自動車関連製品を製造するといった製造拠点の再構築を進めている。下半期からこれらの改善効果が現われることになりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)



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