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イデアインター Research Memo(5):ホットプレートの勢いは継続中。小売事業の減益は広告宣伝費投下によるもの


■業績の動向

2. セグメント別業績動向
(1) 卸売事業
卸売事業は売上高3,195百万円(前年同期比13.6%増)、営業利益755百万円(同114.5%増)と大きく伸長した。けん引役はホットプレートを中核とするキッチン雑貨だ。ホットプレートの累計販売台数は2017年3月末で約65万台に達し、依然として月間2万台ペースでの販売が続いている。

ホットプレートが65万台にまで積み上がることで2つの波及効果が生まれている。1つはホットプレートのオプション品の売上高の拡大だ。もう1はイデアインターナショナル<3140>のインテリア雑貨ブランドである「BRUNO」ブランドの認知度上昇だ。同社はホットプレート以外にもデザイン性の高い「BRUNO」ブランドのキッチン家電やキッチン雑貨のラインアップを充実させており、ブランド認知度上昇と売上拡大のポジティブスパイラル(正の循環)が確立できていると言える。

ホットプレートについては2017年6月期第3四半期までに大きな進展があった。それは製造委託先の生産ラインの拡大だ。この生産ラインの拡大は2つの意味で非常に大きいと弊社では考えている。1つは、欠品の対策だ。人気カラーを中心に欠品が多く、次回再入荷までの時間が長期化していたことは機会ロスという点で大きな問題だった。もう1つは製造委託先との価格交渉力のアップだ。これは前述のようの2017年6月期第3四半期でも効果が出ており、売上総利益の改善につながっている。

増産体制が本格稼働するのは2017年夏場からとみられるが、増えた生産キャパシティをどのように活用するかは一考の余地があると弊社では考えている。市場において余剰感が出てしまうと、「BRUNO」ブランドの価値の毀損、ひいては売上減少にもつながりかねないためだ。弊社では、増えたキャパシティを特別色や卸売先ごとの限定色などの対応力アップという形で活用するほうが望ましいと考えている。同社自身も同様の考えで、ブランド価値と商品価値を一段と高める方策を検討中のもようだ。

卸売事業の売上高の中で、キッチン雑貨以外の商品の売上高が前年同期比減収となっているが、これは想定の範囲内だと見ている。好調なキッチン雑貨に人材を投入していることが主たる理由だ。キッチン雑貨に人材を積極投入する背景には、キッチン雑貨は通年商品であるのに対して、それ以外の商品は季節商品が多く、明確に2番手のポジションを確保できている商品がないということがある。

(2) 小売事業
小売事業は売上高1,841百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益33百万円(同73.4%減)と増収減益で着地した。この理由は第2四半期決算に際して述べたとおりで、ブランド認知度向上のために戦略的に広告宣伝費を投下したことが減益の理由だ。

小売事業のうち直営店での売上高は2017年6月期第3四半期は前年同期比減収となった。同社が販売を注力するトラベルショップの売上高は着実に増収トレンドを歩んでいる。直営店での減収の理由はオーガニック化粧品やインテリア雑貨の売上高が不採算店舗の整理によって減少したためだ。

店舗数については、2017年3月末時点で20店舗で、新規出店1店舗、店舗閉鎖1店舗、店舗数では2016年12月末から変更はない。しかし、今第4四半期に入り、2017年4月~5月に5店舗を新規出店し、5月半ば時点では25店舗体制となっている。今第4四半期中にはもう1店舗の新規出店が見込まれており、2017年6月期末時点では26店舗体制になる見通しだ。この4月~5月に新規出店した5店舗のうち2店舗がいわゆるハイブリッド型店舗(複数の業態を組み合わせた店舗)となっているのが注目される。後述する成長戦略の中で、ハイブリッド型店舗による新規出店の加速は重要な位置を占めているが、その背景には、ハイブリッド型店舗について成功パターンが確立しつつあることを示していると弊社では考えている。

EC売上高は順調な拡大が続いており、2017年6月期第3四半期の売上高は前年同期比18%増となった。内訳としては、インテリア雑貨(キッチン雑貨も含む)が大幅増収となり、オーガニック化粧品の減収を吸収した。オーガニック化粧品については店舗閉鎖の影響でブランド認知度が低下し、それがEC売上高にも影響したことが考えられる。この点は今後の広告宣伝戦略を考える上での1つの課題と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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