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新興市場見通し:金利低下基調のなか戻りを試す展開継続か、IPOは6社


■金利の大幅低下で買い戻し強まる

今週の新興市場は前の週の急落直後とあって値ごろ感もあり、戻りを試す展開となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を受けて、積極的な引き締めが景気後退を招くとのオーバーキルへの懸念が強まるなか、米国債利回りが大幅に低下し、金利の影響が大きい高バリュエーション銘柄の新興株には追い風が吹いた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+2.04%であったのに対して、マザーズ指数が+8.14%、東証グロース市場指数は+7.91%だった。

個別では、JTOWER<4485>が+13.9%、メドレー<4480>が+14.0%、ビジョナル<4194>が+11.1%、フリー<4478>が+11.3%、Appier Group<4180>が+10.7%、セルソース<4880>が+11.9%など、主力株が全般大きく上昇。時価総額上位20銘柄のうち19銘柄が週間で上昇した。リリースが相次いだENECHANGE<4169>は+53.2%と急伸し、売買代金でも大きくトップに躍り出た。直近IPO(新規株式公開)のANYCOLOR<5032>も売買代金2位と旺盛な物色が続いたが、株価の過熱感も強く、高値圏での一進一退にとどまった。窪田製薬HD<4596>やトリプルアイズ<5026>はリリースを受けて急伸。GA technologies<3491>はレーティング格上げなどが手掛かりとなった。

■短期的なリバウンドの継続余地あり

来週の新興市場は戻りを試す展開か。今週末24日の米国市場では債券利回りが上昇したが、景気後退懸念を急速に織り込む動きが続くなか、米10年債利回りは23日に3%割れを窺う水準まで低下するなど、金利の低下基調が鮮明だ。強い景気後退懸念そのものは株式全体にとってマイナス要因だが、金利の先高観が薄れたことは新興株にとってポジティブだろう。一方、シカゴ連銀のエバンス総裁などは7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75ptの利上げが適切と言及するなど、大幅利上げの連続実施への懸念がくすぶる。ただ、24日に発表されたミシガン大学消費者マインド調査の確報値では、1年先期待インフレ率と5-10年先期待インフレ率が共に速報値から下方修正され、インフレや利上げに対する過度な懸念はやや緩和している。今週、東証グロース市場の主力株が全般大きく上昇したことで、個人投資家の含み損益も改善していると推察され、目先はマザーズ指数で言えば、75日移動平均線が位置する700ptまでは戻り余地がありそうだ。しかし、インフレピークアウト期待が剥落したままという大前提を踏まえれば、リバウンドの賞味期限は短いものと割り切る必要があろう。

個別では、指数が強含む場面では指数寄与度の大きい時価総額上位銘柄が先導役を担うと考えられ、ビジョナル、フリー、JTOWER、プラスアルファ・コンサルティング<4071>、メドレー、弁護士ドットコム<6027>、Appier Groupなどの主力株の活躍に期待したい。個人投資家心理が更に改善すれば、直近IPOへの物色もより活発化すると想定され、ANYCOLOR、トリプルアイズなども注目されよう。

今週はプロフェッショナル人材の活用などにより課題解決を支援するINTLOOP<9556>がブックビルディング(BB)期間入りとなった(~28日)。また、来週はサンウェルズ<9229>、イーディーピー<7794>、M&A総合研究所<9552>、ヌーラボ<5033>、マイクロアド<9553>、AViC<9554>の6社が東証グロース市場に新規に上場する。


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