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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆ECB前にポジション調整◆



〇スピード調整で過熱回避、国内材料にも目が向く〇

本日のECB理事会での金融緩和策縮小が注目されている。見込み通りであれば、米国に続き「緩和策から引き締め方向へ」の転換となる。既に、昨年のブレグジット相場によるユーロ売りから、大幅なユーロ高となって織り込まれているが、一本調子で上げてきた株高のポジション調整(一部は上昇が止まったことで、売り仕掛けもあると考えられる)に使われやすい。

NYダウは一時190ドル安から終値112ドル安。決算内容が嫌気されて、航空機大手ボーイング、通信大手AT&T、半導体大手AMD、飲料コカ・コーラ、外食チポトレ・メキシカン・グリルなど、幅広く売られた。米10年物国債利回りは一時2.475%、3月以来の水準、30年債は一時2.980%、3%大台が視野に入った。金利が跳ね上がった割に為替が動かず、ポジション調整の印象を強くした。週末にも次期FRB議長の指名が行われる可能性があり、この日はイエレン続投説が持ち直しと言うか、やや強まった様だが、基本は模様眺めムードと思われる。

相場が強弱綱引きの地合いになると、弱材料にも目が向く。日本の場合はもたつき気味の国内景気に関心が向く公算がある。注目点の一つ、補正予算編成は臨時国会が開催されなくなった(首班指名の特別国会が11月1~8日、実質3日程度)ので、内閣改造から総選挙で遅れ気味と見られる来年度予算編成作業の攻防が中心となろう。

財務省の反撃と見られる動きが活発だ。安倍首相がPB(プライマリ—バランス)黒字化目標の先送りを示したことに対し、経団連、経済財政諮問会議民間委員などから財政再建必要との発言が相次いでいる。明らかに財務省寄り学者も加わっているので、ノーベル経済賞受賞の海外要人、高橋洋一氏等を中心とした「財政出動で一気に需給ギャップを埋め、デフレ脱却」論を封じ込めたいものと考えられる。

12月税制改正案、6年に一度の社会保障制度改定に向け、タバコ増税、診療報酬引き下げ(高薬価抑制案も伴う)などが相次ぎ表面化。金融庁は「地銀の半数が本業赤字、持続可能性に懸念」、「アパマン融資に改善要求(築10年の空室率が7%強)」などの報告書をまとめた。コメ消費は5ヵ月連続減少し、中食・外食低迷を反映。射幸心抑制策が続くパチンコ産業は機器大手・平和の大幅減額修正で業容悪化が表面化。政府は賃上げ促進減税や教育訓練費税額控除検討と伝えられるが、商工中金の偽実績作り問題もあって、実効度に早くも疑問の目となっている。アベノミクス初期に掲げられた医療、農業などの改革、内需拡大策に決め手を欠いた状態が続いている。

外需依存の日本企業の業績拡大は続いているが、総選挙でもほとんど議論がなく、国内産業構造の変革シナリオを欠く。現状は一般論だが、国内事業集約化、業界再編など、企業のM&Aによる収益立て直しの動きを待ち伏せすることが考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/10/26号)



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