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久々に相対的な底堅さ発揮、ただ調整余地は残されている?


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;25975.14;+154.34TOPIX;1875.24;+6.34


[後場の投資戦略]

 本日の東京市場では主要株価指数が揃って反発。前日の米株式市場において主要株価3指数が揃って1%を超える下落率になったのとは対照的に久々に相対的な底堅さを見せている。前日に発表された米12月ADP雇用リポートや週間新規失業保険申請件数・継続受給者数らが軒並み労働市場の逼迫を裏付ける内容となったことを背景に、ドルが対円で上昇(ドル高・円安)していることが理由として挙げられよう。

 一方、米労働市場の逼迫継続が示唆されたことは、4日に発表された米11月雇用動態調査(JOLTS)での求人件数に続き、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期化を裏付ける材料となり、ネガティブに捉えられる。反面、雇用が堅調なことは米国の国内総生産(GDP)の7割程も占める個人消費の堅調さにつながるものであり、リセッション(景気後退)をマイルドなものにする可能性があるという点でネガティブ一辺倒でもない。しばらくは、米国での雇用と消費を巡るデータに神経質な展開が予想される。

 ただ、前日の米カンザスシティー連銀・ジョージ総裁による発言はやはりネガティブだろう。同氏は政策金利について5%超にまで引き上げた後は、インフレが2%目標に向かって説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまでは、当面その水準にとどまるべきと主張した。また、現時点では、今年だけでなく2024年になっても政策金利は5%超の水準を維持することが適切との見解を示した。5%超もの高水準の金利が今後、1年近く、もしくはそれ以上の長い期間にわたって維持される可能性があることは、株式などリスク資産にとって明らかにネガティブだろう。

 また、米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数を対象とした株価収益率(PER)にはまだ調整余地が残されているとも考えられる。PERについては、すでにコロナショック直後の大規模金融緩和の局面で上昇した分は全て吐き出しているため、バリュエーション調整は済んだと考える向きもいる。しかし、2000年以降の長期の視点でみた場合、米国の10年債利回りから期待インフレ率を差し引いた10年物の実質金利との比較でいうと、現在のPERにはまだ割高感がある。

 現在、米国の10年物実質金利は1.5%近辺で推移しているが、前回この水準にあったとき、具体的には2010年3月頃におけるS&P500指数の当時の予想PERはおよそ14.5倍だった。これに対し、現在の予想PERは約16.8倍であり、株価バリュエーションにはまだ調整余地が残されていると考えられる。

 加えて、今後の景気後退の進展を踏まえると、アナリストによる業績予想もまだ楽観的と思われ、下方修正が進む余地はまだ残されているだろう。この先、10−12月期決算が発表される2月中旬頃にかけては業績悪化を先取りする動きがさらに出てくる可能性もあり、注意したい。

 中国については、ゼロコロナ政策が緩和され、経済再開が進められていて、明るい話も出てきている。しかし、有効性の高い海外製のワクチン接種率が低いこともあり、感染者の拡大は続いている。政府は正式な統計を発表していないが、火葬場に運び込まれる死体の数から死者が急増しているとの指摘もあり、社会的な混乱は続いているようだ。

 こうした中、中国では今月1月下旬からは旧正月に当たる春節の時期がはじまる。人の移動が増加することで短期的にはさらに感染者が拡大する可能性が高く、最悪の場合、製造業のサプライチェーンの混乱などを通じて実体経済の落ち込みなども懸念される。

 今後、集団免疫が獲得されて感染者数もピークアウトしていくことで、3月頃からは中国経済は回復していくとも予想されているが、短期的には、中国経済は1月下旬から2月上旬にかけて最悪期が来ると予想される。上述してきたように、米国と中国の動向を理由に、株式市場は2月中旬にかけて下値を模索する展開になると予想している。それまでは打診買いにとどめ、本格的な押し目買いはこの時期まで待った方がよいと考える。
(仲村幸浩)
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