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国連薬物犯罪事務所(UNODC)の大麻草と大麻製品の分析方法の最新版レポートの仮訳を公表


国連薬物犯罪事務所(UNODC)は1997年に設立された国際連合の機関で、薬物規制と薬物犯罪対応に加え、人身売買や資金洗浄を含めた組織犯罪や汚職などの腐敗対応を目的とする組織です。

UNODCが22年3月に発行した「大麻草及び大麻製品の同定及び分析のための推奨方法」は、各国の法医学薬物試験所のための推奨分析方法の調和と確立を目的したマニュアルです。日本臨床カンナビノイド学会(事務局:東京都品川区)は、本レポートの仮訳を9月20日付けで本学会サイトにて公表しました。

本報告書は、前回の2009年版の改訂・更新版となります。

本報告書p26の大麻草の植物部位別のTHC分布がよく引用されています。
10 - 12 % 雌花
1 - 2 % 葉
0.1 - 0.3 % 茎
< 0.03 % 根

我が国においても、23年以降の改正大麻取締法は、従来からの茎・種が合法で、花と葉が違法という植物部位の規制から、マリファナの主成分であるTHC濃度に基づく成分規制への変更を予定しています。

本書の仮訳版が大麻草および大麻製品の分析を予定している我が国の大学等の研究機関および民間での各種試験所の参考になればと思います。

タイトル:大麻草及び大麻製品の同定及び分析のための推奨方法

目次

1. はじめに p1

1.1 背景 p1
1.2 マニュアルの目的及び使用方法 p2

2. 大麻製品の市場及びトレンド p5

3. 一般的説明 p7

3.1 大麻草の名称 p7
3.2 定義 p7
3.3 同義語 p7
3.4 分類学 p8
3.5 外観 p8
3.6 品種改良及び栽培 p10
3.7 大麻製品 p12
3.8 産業用又は園芸用の大麻 p17
3.9 医療及び科学目的の大麻 p17

4. 大麻の化学的特性 p19

4.1 生合成 p22
4.2 THCの化学合成 p23
4.3 カンナビノイドの安定性 p23
4.4 異なる溶媒でのカンナビノイドの 抽出 p25
4.5 大麻草及び製品のTHC分布 p25
4.6 薬物型大麻と産業用大麻の比較 p26

5. 大麻製品の定性及び定量分析 p27

5.1 サンプリング p27
5.2 大麻陽性の同定のための最低限の基準 p29
5.3 物理的試験 p29
5.4 化学的試験 p36

6. 参考文献 p67

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000266628&id=bodyimage1

図1 最新版「大麻草及び大麻製品の同定及び分析のための推奨方法」表紙

仮訳のPDFファイルはこちからからダウンロードをお願いします。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=129552



本学会は、大麻草およびカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。

なお、本学会が提供するすべての翻訳情報の内容は、学会としての意見表明ではありません。

<用語集>

Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。

CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。

内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。

2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2021年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
現在、2021年の大麻等の薬物対策のあり方検討会の報告書が取りまとめられ、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制規制小委員会にて改正大麻法に向けた議論が進められている。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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