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大麻等の薬物対策のあり方検討会の委員であった松本俊彦先生を教育講演に招いた「春の学術セミナー2022」を3月20日(日)に開催


日本臨床カンナビノド学会(事務局:東京都品川区)は、春の学術セミナー2022を3月20日(日)13時30分からZOOM(オンライン)にて開催します。

コロナ禍の中、本学会が設立して6年目の2021年度はカンナビノイドを巡る状況は大きな前進がありました。昨年1月から6月に厚労省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」が全8回開催され、大麻の成分を含む医薬品の製造や利用を可能とすべきという合法化の方針が示されました。

また、太組一朗(現・日本臨床カンナビノイド学会理事長)が研究代表者を務めた厚労省研究班の皆様の協力によってカンナビノイド医薬品の治験に向けた課題整理を行うことができました。本学術セミナーでは、大麻等の薬物対策のあり方検討会の委員であった松本俊彦先生をお招きし、我が国の薬物政策の展望について紹介します。

教育講演:薬物政策における世界の流れ、日本の流れ~厚労省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を経て
発表:松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部部長)

松本 俊彦プロフィール
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部部長 兼 薬物依存症治療センターセンター長。医学博士。1967年生まれ。93年佐賀医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部附属病院などを経て、2015年より現職。
近著『アディクション・スタディーズ― 薬物依存症を捉えなおす13章』(日本評論社、2020年『 物質使用障害の治療―多様なニーズに応える治療・回復支援』( 金剛出版、2020年)『誰がために医師はいる―クスリとヒトの 現代論』(みすず書房、2021年)、『「死にたい」 に現場で向き合う 自殺予防の最前線』(日本評論社、2021年)など。

講演概要
日本の規制薬物の生涯経験率は諸外国と比較して著しく低いとされてきました。しかし、いま、若年層の大麻乱用が増え、 大麻製品の流通が拡大するなど、 大きな変化が生じていると言われています。厚生労働省は、2021年1月、医学者・薬学者・法学者、弁護士・製造業者・ 民間団体・ジャーナリスト・ 自治体職員等で構成される専門委員会を立ち上げました。 同委員会は、同年6月、「大麻等の薬物対策のあり方検討会とりまとめ~ 今後の大麻等の薬物対策のあり方に関する基本的な方向について~ 」を公表しています。

一方、アメリカやカナダ等では、 大麻を使用した医薬品が販売され、 大麻の使用や所持の非犯罪化、アルコールやタバコと同じように合法化して課税管理する制度が始まっています。世界保健機構(World Health Organization:WHO)や国連麻薬委員会(Commission on Narcotic Drugs:CND)も、医療目的に関する大麻の活用を支持しています。また、世界の薬物政策では、従来の厳罰主義から公衆衛生や健康に焦点を当てたハームリダクション(健康被害の低減)を実践する国が増えています。

本教育講演では、上記の委員会メンバーであり、薬物依存の治療に積極的に関わり、 その都度の問題状況に積極的に発言してこられた松本俊彦先生を招き、世界の潮流と厚労省の検討会の議論を踏まえて、わが国における薬物政策としての大麻をどのように考えるかについて話題提供をします。

参考:大麻等の薬物対策のあり方検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuhin_436610_00005.html

3月20日(日)の詳しいプログラムおよび参加申し込み先はこちらへ
http://cannabis.kenkyuukai.jp/event/event_detail.asp?id=53695

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000255326&id=bodyimage1

<用語集>

Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。

CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。

日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2021年4月段階で、正会員(医療従事者、研究者)101名、賛助法人会員14名、 賛助個人会員27名、合計142名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。



配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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