イスラエルのネタニヤフ首相は17日、米CNNのインタビューで、米連邦上院の民主党トップのシューマー院内総務がイスラエルに総選挙実施を要求したことについて「全くもって不適切だ」と批判した。シューマー氏はイスラエルの侵攻が続くパレスチナ自治区ガザ地区の人道危機への配慮不足を非難したが、ネタニヤフ氏は「（ガザ地区のイスラム組織）ハマスの圧政を倒すことに集中すべきだ」と主張した。
ネタニヤフ氏は「民主主義の友好国に対して、国民に選ばれた指導者を交代させようとするのは不適切だ。指導者はイスラエル国民が自分たちで選ぶ。我々はバナナ・リパブリック（政情不安の途上国）ではない」と強調。「イスラエル国民の過半数は、（ガザ地区南部）ラファ侵攻やハマスの残党の破壊を支持している」と訴えた。
シューマー氏は14日の上院本会議での演説で、ネタニヤフ政権は現在のイスラエルにふさわしくないと主張。「戦闘が収束し始めた段階で選挙を実施することが、戦後の未来に関するイスラエル国民の声を聞く機会になる」と発言し、バイデン大統領も「いい演説だった」と評価していた。一方、共和党からは「外国への干渉だ」と非難が上がっている。
イスラエルは2023年10月のハマスによる越境攻撃を受けて、ガザ地区でハマス掃討作戦を続けているが、民間人の犠牲者が増えるにつれ非難が高まっている。イスラエルの後ろ盾である米国の世論も割れており、2月下旬のウォール・ストリート・ジャーナルの世論調査では、42％がイスラエルの対応は「やり過ぎだ」と回答した一方で、「ちょうど良い」（24％）、「十分ではない」（19％）といった意見もある。【ワシントン秋山信一】
