starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

発射5秒後の爆発にため息 民間ロケット失敗、地元は「次こそ」


 和歌山県串本町の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」で13日行われた小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げは失敗に終わった。9日の延期から仕切り直しとなったこの日、串本・那智勝浦両町の見学場には計約1400人が詰めかけた。発射約5秒後に爆発する衝撃的な展開にため息が広がったが、「次こそは」と期待する声も聞かれた。

 串本町田原の田原海水浴場の公式見学場では、約700人がカウントダウンでその時を待った。約2キロ離れ山に囲まれている発射場は見えないため、大音響がし、もくもくと白煙が上がった瞬間には「おおー、打ち上がった」と大歓声が。しかし上空にロケットの姿が現れることはなく、「失敗」がアナウンスされると大きなため息へと変わった。田嶋勝正・串本町長は報道陣に「ロケットと一体となった町づくりをすると決めたので、これからも全面的にバックアップする。必ずこの地からカイロスの産声を上げさせる」と声を振り絞った。

 湯浅町の農業、千川和宏さん(65)は「今度こそはと期待していたのすごく残念」と肩を落とした。小学生から高校生の子ども3人と見守った大阪市の杉本洋子さん(46)は「(串本は)いいところなので、今度は家族旅行で来たい」と帰路に着いた。鹿児島・種子島にもロケットの打ち上げを見に行ったことがあるという兵庫県南あわじ市の永坂絢香さん(31)は「世紀の瞬間に立ち会えると思っていたのに……。次も絶対に来ます」と話した。

オリジナルまぜそばも

 場内では、地元の県立串本古座高校の生徒が、宇宙をイメージした紀州備長炭を練り込んだ黒い麺に、ロケット型のニンジンや月に見立てたゆで卵を加えたオリジナルの「ロケットまぜそば」を調理・販売し“ロケットの町”をアピール。3年の雑賀和さん(18)は「自分たちの手料理で町の魅力を伝えられたと思う」と話し、串本町観光協会職員で「和歌山ロケット応援団長」の青木圭さん(47)は「次に向けてさらに機運を盛り上げたい」と語った。

 那智勝浦町のホテルの記者会見場では、打ち上げを手がける宇宙ベンチャー「スペースワン」(東京都)の広報担当者たちが中継映像を見守った。中には祈るように顔の前で手を組む姿も。爆発する様子が映ると言葉を失い、場内は静まりかえった。

 記者会見で豊田正和社長は「関係者の皆様のご期待に応えられなかったことを深くおわび申し上げる」と陳謝。一方、発射できた点と第三者に被害を与えずに飛行停止措置を取れた点を評価し「一刻も早く原因を究明したい。挑戦を続けてミッションを達成することが地元への貢献だと考えている」と強調した。遠藤守取締役は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)所属時代にも「大きな失敗」を経験したとし「結果から見ると知見が足りなかったが、一歩ずつ乗り越えて進んでいくことが信頼性を高めることになる」と前を向いた。【松田学、駒木智一】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.