光秀築いた坂本城「三の丸」 宅地開発中止で市と業者が合意

　大津市の調査で発見された戦国武将・明智光秀が1571年に築いた坂本城の「三の丸」とみられる大規模な石垣と堀の跡について、佐藤健司市長は20日、現地で進められている宅地開発を中止することで市と開発業者が合意したことを明らかにした。佐藤市長は「歴史的価値が高く、後世に伝えていくべき貴重な財産だと評価した。国の史跡指定に向けて取り組む」とした。

　この日開会した市議会2月通常会議の提案説明で述べた。同市下阪本3の宅地開発に伴う今回の調査では高さ約1メートルの石垣が約30メートル確認されたほか、堀（幅8メートル、深さ約1メートル）も見つかった。坂本城に関する遺構の発見は1979年以来で、城の規模が明らかになったと評価された。市は調査成果を受け、開発業者に中止を要請。協議の結果、業者が三の丸推定地とされる調査現場約3000平方メートルの開発許可の廃止を届け出ることで合意した。

　市文化財保護課によると、住民からも「保存してほしい」といった声が多く寄せられた。今後は文化庁と協議を進め、史跡指定に向けた調査を進めるという。【飯塚りりん】