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続く人口減少…再開発完了の新札幌、求められる次の一手


 札幌市厚別区の「副都心」新札幌地区が生まれ変わった。新たな商業施設の立地など一連の再開発事業が終わり、街には活気があふれる一方、人口減少の歯止めとなるかは見通せない。「箱物づくり」で終わらせないために、地域を巻き込んだ施設の活用のあり方が焦点になる。

 青空を映し出した巨大なスクリーンの下に広がる人工芝で、子供たちがはしゃぎ回る。先月21日の昼過ぎ、平日にもかかわらず多くの家族連れやカップルが商業施設「BiVi新さっぽろ」の室内公園を訪れていた。

 同市中央区から父親の鈴木健也さん(43)と訪れ、タンクトップ姿で走り回っていた悠桧(はるひ)ちゃん(5)は「中で走れるのが楽しい」と笑顔。厚別で生まれ育ったという鈴木さんは「街は確実に拡張していて、様子がすごく変わった。発展してくれるのはうれしい」と目を細めた。

 2023年11月末に開業したBiViは地上4階・地下2階の延べ床面積約2万平方メートルに34店舗が入居。JR、地下鉄の駅や既存の商業施設、新設された医療機関と直結し、一つの街を形作る。開発した大和ハウス工業(大阪市)は開発地を「マールク新さっぽろ」と名付けた。

 札幌都心から約11キロ離れている新札幌は1950年代、札幌駅周辺の人口急増や大気汚染の悪化を受けて団地の造成などが始まった。市は71年、副都心と位置づけ、74年に第三セクターの札幌副都心開発公社を設立。教育や商業施設、地下鉄新さっぽろ駅など、中核施設が次々と開業し、都市機能の集積が進んだ。JR、地下鉄、バスがつながる交通の要衝にもなり、人口増加を受けて89年、白石区から分区して厚別区が誕生した。

 ただ、当初の開発から時間がたち、人口は2004年6月の約12万9800人をピークに微減が続いている。23年11月は約12万4000人だ。

 中心地にある市営住宅の建て替えに伴って広大な面積が余剰地になることを受け、市は新札幌に人を呼び込もうと、13年から再開発計画の検討を進めた。都心への一極集中を防ぐ狙いもあった。

 大和ハウス工業に約44億円で売却。約4年半かけて、5・5ヘクタールにホテルや医療・教育機関の計10棟が建設された。21年以降、大学と看護専門学校の新キャンパスや病院施設、マンション、ホテルが開業。近くのもみじ台団地で40年以上理容室を営む関本信一さん(83)は「新札幌で何でもできるようになって、いい面がたくさんある」と歓迎する。市の担当者は「若者が多く訪れるようになり、地域の雰囲気が変わる」と期待する。

 一方、70年代以降造成されたもみじ台団地は最盛期から人口が半減している。関本さんは「昔は人があふれて小さな商店がいっぱいあったが、多くが閉じた。商売にならない」と声を落とす。「再開発の見栄えはいいけど、住む人は増えないよね」

 これまで副都心の発展を担ってきた公社は再開発をどう捉えているのか。同社は「当社でも出店のあるショップの種類もあり、少なからず影響はあると考える」とした上で、新マンションや昨春開業した北広島市の新球場エスコンフィールド北海道の存在を挙げ、「街への来客は増え、ニーズは多様になる。新札幌全体で盛り上がっていければ」とコメント。同社とBiViを運営している大和リースなどは22年度、一般社団法人「新さっぽろエリアマネジメント」を設立し、街づくりの方向性を一緒に検討している。

 市も今後、事業者側と施設を活用して新たなイベントを展開する方針で、担当者は「造って終わりではない。地域の価値を向上できるようにしたい」と意気込んでいる。【片野裕之】

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