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山形の験潮場、津波データ得られず 原因究明と再発防止求める声


 1日発生した能登半島地震で震度4の揺れを観測した山形県鶴岡市で、沿岸部にある国土地理院の「鼠ケ関(ねずがせき)験潮場」の潮位計が正しく機能せず、正確な津波の観測データが得られていなかったことが同院などへの取材で分かった。同験潮場は、2019年の新潟・山形県沖地震でも電源不足によりデータを送信できておらず、市や専門家から原因究明と再発防止の徹底を求める声が上がっている。

 験潮場は海面の昇降(潮位)を測る施設。国土地理院が全国25カ所に設置しており、1秒間隔で観測した潮位データをリアルタイムで同院へ送信する。集まったデータは気象庁に転送され、津波や高潮の監視などの防災情報にも活用される。

 同院によると、23年12月17日から潮位計の観測データに異常が見られ、同19日からデータの公開を中止している。原因は不明といい、同院地殻監視課は「(能登半島地震の発生は)潜水による調査などを検討していた矢先だった。早急に原因を究明し復旧したい」と釈明している。

 能登地方で1日午後4時10分に地震が発生した直後、気象庁は沿岸部にある鶴岡市に津波注意報を発令するとともに、1メートルの津波の到来を予測した。同22分に津波警報に切り替わり、3メートルの津波予測となった。これを受け、市は3923世帯9204人に避難指示を出した。

 津波は鶴岡市の北隣にある同県酒田市の酒田港で午後7時8分に80センチ、同市飛島で同5時52分に40センチを観測した。だが、鶴岡市によると、同市については山形地方気象台から「(潮位の)正確なデータを計測できない」と連絡があったという。

 気象台は取材に「警報は地震の規模や震源の位置を基に出しており、住民の避難に大きな影響はなかった」と説明している。一方、鶴岡市防災安全課は「市内唯一の観測施設で津波が来たのか来なかったのか不明では今後の防災上困る」として、同院に2日、改善を申し入れた。

 鼠ケ関験潮場は、19年6月18日午後10時22分ごろ同市で震度6弱を観測した新潟・山形県沖地震でも、電源不足でデータを送れなかった。停電に加え、非常用電源装置が地震前から劣化していたことが主因だ。その結果、同験潮場では地震発生12分後に約10センチの津波を観測していたにもかかわらず、気象庁はそれを把握できず、最も早く観測した津波を「発生26分後に新潟県の粟島で記録した微弱な津波」と発表した。

 東北大災害科学国際研究所の今村文彦教授(津波工学)は「リアルタイムの記録は津波の実態を把握するうえで最も信頼できる重要なデータ。気象庁が津波警報を大津波警報に変更したり、警報から注意報へ切り替えたりする際のほか、自治体が避難指示を発令・解除する際の判断にもつながる。その重要性を認識し、原因を明らかにすべきだ」と指摘している。【長南里香】

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