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ダイハツ不正64車種に 国交省、21日にも立ち入り検査へ 


 ダイハツ工業で車両の認証試験に不正があった問題で、同社が設置した第三者委員会(委員長=貝阿弥(かいあみ)誠弁護士)は20日、調査結果を発表した。不正の件数は174件で、対象車種は当初の6車種から生産終了車種も含め64車種に拡大。同社は報告書を受け、国内外の工場で全車種の生産、出荷を停止すると発表した。停止の期間は未定。事態を重く見た国土交通省は、21日に大阪府池田市にある同社本社に立ち入り検査に入る方針だ。

 第三者委の調査報告書によると、不正は1989年から確認され、2014年以降急増していた。

 具体的には、事故を想定した側面衝突試験で、本来は衝撃で作動させるエアバッグを故意に作動させて試験成績書を作成するなどしていた。また、衝突時の燃料漏れ試験などの成績書に、試験に使ったのとは別の車両の車台番号を記載していた。排ガス・燃費試験でも、試験直前に触媒を新品に取りかえるなどの不正があった。

 調査報告書では、不正が起きた直接の原因について、短期間での新車開発を重視する社内風土を挙げた。そうした風土の中で開発スケジュールに余裕がなくなり、「強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだ」とした。

 経営陣や管理職らの指示など組織的な関与を否定したが、管理職は現場の実務に精通しておらず現場任せにしてチェック機能が働いていなかったと指摘。「経営幹部は不正の未然防止や早期発見に向けた対策を何ら講ずることなく短期開発を推進した」として経営陣の責任を強調した。

 調査報告書の公表を受けて記者会見したダイハツの奥平総一郎社長は「お客様の信頼を裏切ったことを大変重く受け止めている」と陳謝。「全ての責任は経営陣にある」としつつも、再発防止に注力するとして進退には言及しなかった。また、業績への影響については現時点では見通せないとした。

 同社はトヨタ自動車の完全子会社で、OEM(相手先ブランドによる受託生産)でトヨタなどに軽自動車を供給している。会見に同席したトヨタの中嶋裕樹副社長は「OEM供給車が増えたことがダイハツの現場の負担を大きくした可能性があることを認識できていなかった」と話した。

 斉藤鉄夫国交相は同日、記者団の取材に「自動車ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で断じて許されない」と述べ、21日にダイハツ本社に立ち入り検査に入る方針を表明。その結果を踏まえ「厳正に対処する」と話した。【加藤結花、山下貴史】

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