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工事現場から巨岩、費用2.6倍に でも美しい…使い道のアイデア続々


 福島県田村市が常葉(ときわ)地区で整備を進める産業団地の工事現場に、思わぬ巨岩が現れた。あまりの大きさに市は施工計画の見直しを余儀なくされ、事業費が約2・6倍に膨らむ事態に。一方で、岩が見せる景観美は市民らの関心の的となっており、その「使い道」の案として、さまざまな意見が寄せられているという。さて、市はどうする?

巨岩出現!その経緯

 産業団地の建設予定地は、常葉地区から都路地区に向かう国道288号沿いの約20ヘクタール。磐越自動車道の出入り口に近く、半導体の原材料関連と道路舗装関連の2社が進出する計画で、2019年に森林を伐採して造成工事が始まった。24年9月の完成予定で事業費を約2億7000万円と見積もっていた。

 ところが、担当課が着工前に「小さな石」と見ていた周囲を掘り進むと、巨大な岩が出土する。市がドローンに搭載したカメラの三次元(3D)技術で測定すると、約7000立方メートルの体積だったことが判明。衛星写真を基にすると、横幅約30メートル、奥行き約20メートルで、高さは11メートルを超える計算になる。

 岩があるのは、木を切ったことで造成地から漏れる雨水をためる池の整備予定地で、約2万7000立方メートルの容積が必要だという。近くには民家があり、破砕用のダイナマイトは使えない。白石高司市長が石材商に問い合わせると、「花こう岩で何の価値もない」と返答されたという。

 結局、巨岩はそのまま現場に置いておくことに決めた。貯水の容積を確保するため、当初は高さ約3・9メートルだった池の築堤を約6・9メートルまでかさ上げするよう計画を見直した。事業費は4億3000万円増の約7億円にまで膨らむ。それでも、東日本大震災の影響もあって落ち込んだ市の経済立て直しに産業団地は欠かせない。市議会は今月8日、補正予算案を承認した。

「まち起こしの起爆剤に」

 それでは、巨岩の扱いはどうするのか。現地には「自然美」を見ようと多くの人々が訪れる。福島県本宮市の男性(64)は「こんなに見応えがあるんだから観光振興というか、まち起こしの起爆剤に」。同県郡山市の男性(71)と妻も「キッチンカーがあればありがたい」と笑顔で話した。

 田村市によると、市民からも「スポーツクライミングの場として整備」「彫刻家に依頼し自然と調和した作品に仕上げてもらう」などの利活用案が寄せられている。市には、平安時代初期に征夷大将軍として東北地方を平定した坂上田村麻呂の家臣50人が座ったとされる「五十人石」があるなど、岩の伝説が残る。白石市長も、新たに出土した巨岩の利活用について「『石のまち』の玄関を示すモニュメントになれば」と前向きだ。

 ただし、市の政策の優先順位は、巨岩の扱いよりも企業誘致の方が高い。造成工事が終わるのは24年9月の予定。担当者は「活用策の本格的な議論を始めるのは、その後になるのではないか」と見通しを示しており、巨岩の扱いが決まるまでには時間がかかりそうだ。【根本太一】

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