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「生体解剖事件」とは? 血液に塩水…米軍捕虜8人に実験手術


 太平洋戦争中の1945年5~6月、B29爆撃機の搭乗員だった米軍捕虜8人が九州帝国大(現九州大)医学部で実験手術をされた。肺を切除されたり血液の代わりに塩水を注入されたりし、全員が死亡。関わった旧陸軍西部軍や大学関係者ら計23人は48年、BC級戦犯が裁かれた「横浜裁判」で有罪判決(うち5人は絞首刑)を受けた。後に「生体解剖事件」と呼ばれる事件の概要だ。

 一方、事件の直後に真武七郎(またけしちろう)医師ら5人が捕虜の肝臓を食べたとされた冤罪(えんざい)事件は、解剖の関係者が肝臓を持ち帰ったという情報を連合国軍総司令部(GHQ)が戦後、追及した中で作り上げられたとみられる。

 裁判記録や関係者を取材したノンフィクション作家、上坂冬子さんの著書「生体解剖」(毎日新聞社)によると、真武さんが47年12月にGHQの調査官に宛てた嘆願書には「真実を述べても聞いていただけないので心にもなく偽りの証言をしなくてはならない羽目に至り」とつづられていた。

 真武さんの長女ナナさん(74)によると、両親は収監時や裁判の話をほとんど語らなかった。ただ、真武さんの死後、母親が上坂さんの取材を受け、著書を「忠実に書いてある」と話していたという。

 BC級戦犯の裁判に詳しい関東学院大の林博史教授(現代史)は、真武さんらの訴追や裁判の過程について「戦後、連合国側は捕虜が受けた戦争犯罪を、関係者の訴えなどから追跡・捜査しており(真武さんも)その中で拘束されていったのだろう。一方で裁判自体は証拠に基づいて判断され、無罪とすべきものは無罪にしていたと考えられる」と話した。【青木絵美】

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