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「生殖不能手術なしでも性別変更可能に」 最高裁で違憲性訴え


 生殖機能を無くす手術を性別変更の条件とする性同一性障害特例法の規定が個人の尊重を定めた憲法13条などに違反するかが争われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は27日、弁論を開き、手術無しでの性別変更を求めている戸籍上男性の申立人側から意見を聞いた。申立人側は「手術には身体的苦痛、後遺症の危険が伴う。規定は過度な負担を強いるもので違憲だ」と訴えた。大法廷は年内に決定で憲法判断を示す見込み。

 特例法の規定を巡っては、最高裁第2小法廷が2019年1月に合憲とする判断を示している。この際は裁判官4人による決定だったが、今回は裁判官全15人が参加する大法廷で審理されており、違憲へと判断を変えるのかが注目される。

 特例法の規定は「生殖機能を永続的に欠くこと」を性別変更の要件とし、生殖機能を無くす手術(生殖不能手術)を受けることが性別変更の事実上の条件となっている。19年の最高裁決定は、性別変更後に変更前の生殖機能で子どもが生まれれば、親子関係で社会に混乱が生じる恐れがあるとし、規定の合理性を認めた。

 戸籍上は男性で女性として生活する申立人は同年2月、「ホルモン治療で生殖機能は著しく低下している」として、手術無しで女性への性別変更を認めるよう家裁に申し立てた。しかし、家裁は20年5月に生殖不能手術を受けていないことを理由に申し立てを却下し、高裁も同年9月に1審を支持したため、最高裁に特別抗告した。

 申立人側は大法廷の弁論で、申立人が既に女性として生活しているのに、法律上男性として扱われる不利益を受けていると訴え、生殖不能手術を性別変更の引き換え条件とした1、2審を批判。自身の性別の在り方が尊重されることは憲法13条で保障された基本的な人権で、生殖不能手術を求める特例法の規定はこうした人権を侵害すると主張した。性同一性障害の当事者に過度な負担を強いる点で「法の下の平等」を定めた憲法14条にも反するとした。

 申立人本人に対する審問も弁論に先立つ26日に非公開で大法廷で開かれ、女性として生きる現状や心情を裁判官に直接訴えたという。

 また、特例法は生殖機能に関する要件とは別に、変更後の性別の性器に似た外観を備えることも性別変更の要件と定める。申立人側は弁論で「外観要件の規定も憲法違反だ」と訴えたが、1、2審は外観要件について判断を示しておらず、大法廷は憲法判断の対象としない可能性がある。【遠藤浩二】

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