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すぐやる課、ハチの巣駆除に大忙し 要請年々増加 千葉・松戸


 スズメバチやアシナガバチといったハチの活動が活発になる夏から秋口にかけて、各地の自治体でハチに関する苦情や通報が相次いでいる。市民からの要望に速やかに対応する千葉県の松戸市すぐやる課には、7月だけでも577件のハチの巣駆除の要請があった。炎天下、防護服で現場に急行する同課職員に2回にわたって同行した。

 「ああ、あれはコガタスズメバチだ」。市南部の民家の庭木に2・5センチほどのスズメバチが飛び回っているのを同課の根本慎一課長(54)が指さした。

 「あれならすぐです」と、白い作業着のまま駆除を開始。殺虫剤を巣の穴から中に吹き込み、わずか5分ほどで巣を除去して作業を終えた。依頼主の主婦(63)は「以前、ハチに刺されたことがあったので怖かった。本当に助かります」と、安心した表情で何度も頭を下げた。

 約半月後、今度は市の東部クリーンセンターに向かった。植え込みに多数飛び交っていたのは、黄色と黒のしま模様が特徴的な、体長4センチほどの大スズメバチ。根本課長も「今度は着たほうがいいな」と「ハチ服」と呼んでいる化学繊維製の白い防護服を着込む。課員と2人でチームになり、1人が蜂の巣の付近で煙でいぶすタイプの殺虫剤をたき、ハチが弱ったのを見計らってハチの巣にノズルを突っ込んで殺虫剤を噴射。もう1人は、絶えず殺虫剤やバドミントンのラケットで相方を防護した。

 スズメバチは、一度刺されると、体内に抗体ができ、次に刺された時にアレルギー反応の一種であるアナフィラキシーショックを起こし、死に至ることもある。作業は命がけだが、真夏は防護服を着ること自体が命がけだ。記者も同じ防護服を着て取材したが、完全にサウナ状態。全身から滝のような汗が噴き出るが、隙間(すきま)なく縫製されているため、目の汗を拭うこともままならない。シャッターを切ろうとすると、すかさずハチが数匹襲ってくる。護身用にと渡されていたラケットでハチを追い払い、身を守りながらの撮影となった。

 同課によると、ハチの巣の駆除要請は年々、増えている。2018年度に1663件だったが、22年度は2863件と約1・7倍に。同課の仕事の6割近くがこうした危険なハチの巣の駆除だ。7人が所属する同課では、2人組のチーム2班体制で対応しているが、フル稼働が続く。多い日では、2班で50カ所以上の現場を回ることもある。

 だが、同課の上田隆さん(55)は「直接、市民と接し、役に立っている実感があることがやりがい」と笑う。一方、課員だった15年前にスズメバチに刺されたことがある根本課長は「担当職員には定期的に抗体検査を行い、抗体値が上昇すると異動させるなど、健康管理には細大の注意を払っている」と説明する。

 秋口にかけて、春から夏に作られて見落とされた巣が巨大化し、危険度を増すことが予想される。同課ではハチの巣対策として、日ごろからこまめに庭木を剪定(せんてい)し、家の外周に物を置かないことなどを呼びかけている。【柴田智弘】

松戸市すぐやる課

 1969年10月6日、松本清市長(当時)の号令で全国で初めて発足した。人口が急増する中、対応を求める市民の声に部署の垣根なく素早く応えるため設置された。同課には「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」とする松本氏直筆の「課訓」が掲げられている。

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