バイデン米大統領は15日、全米自動車労組（UAW）が米自動車大手3社（ビッグ3）に対しストライキを起こしたことについて「自動車会社はUAWの労働者の犠牲のおかげで記録的な利益を上げた。これらの利益は、労働者に公平に分配されていないと思う」と述べ、大幅な賃上げを求めるUAWに一定の理解を示した。一方、「誰もストを望んでいない。双方が納得できる合意に至るよう交渉のテーブルに戻ってほしい」と労使対立の早期解消を呼び掛けた。
15日にUAWがストに入ったことを受け、ホワイトハウスで演説した。交渉成立を後押しするため、スー労働長官代行ら政府高官を労使協議の場に派遣していることも明かした。
バイデン氏は「クリーンエネルギーへの移行が進行中だ。この移行は労働者と企業にとってウィンウィンであるべきだ」と述べ、ガソリン車から電気自動車（EV）への生産移行に伴い雇用が減るとのUAWの懸念にも理解を示した。バイデン政権は8月下旬、従業員を高賃金で雇用しながらEV生産へ移行するプロジェクトへの財政支援策を発表している。
ゼネラル・モーターズ（GM）▽フォード・モーター▽旧クライスラーを傘下に持つ欧米大手のステランティス――の従業員が加盟するUAWは、ビッグ3に大幅な賃上げなどを求めていたが期限の14日深夜までに妥結しなかった。3社の組合員は15日、ミシガン州など3カ所の工場で一斉にストに入った。【ワシントン大久保渉】
