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「失敗なら氷河期に」 背水のH2Aロケット47号機打ち上げへ


 日本の大型主力ロケットH2A47号機が28日午前9時26分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから発射される。これまで高い成功実績を誇ってきた国産ロケットだが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による打ち上げは昨年から失敗続き。信頼が揺らぐ中、今回は世界初のミッションに挑む探査機を搭載し、背水の陣で臨む。

 H2Aは2003年に6号機で失敗した以外は過去46機中45機で成功。打ち上げ能力を高めたH2Bは全9機で成功し、合わせて98%を超える成功率は世界でもトップクラスだ。

 ところが、最近雲行きが怪しい。昨年10月にJAXAの小型主力機イプシロン6号機が、今年3月には新開発のH3ロケット初号機が相次いで発射に失敗。H3の失敗原因を調べたところ、エンジン周りの装置やその下流で配線がショートした可能性が高いことが判明した。こうしたエンジンの電気系統はH2AとH3で共通の設計だったため、当初5月ごろの予定だった47号機の発射は一時凍結を余儀なくされた。

 さらに7月には、秋田県能代市の試験場で、JAXAが開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段モーターが地上燃焼試験中に爆発。立て続けの失敗にJAXAの山川宏理事長は7月の記者会見で「非常に危機感を持っている。失敗の背景要因に共通するものがあれば、ただちに取り組む必要がある」と硬い表情で語った。

注目の探査機を搭載

 H2A47号機が宇宙へ運ぶのは、注目の探査機だ。一つは日本初の月面着陸を目指す無人小型探査機「SLIM」(スリム)。目標地点から誤差100メートル以内のピンポイント着陸という世界初のミッションに挑む。もう一つは、X線天文衛星「XRISM」(クリズム)。16年に宇宙空間で交信が途絶え、復旧断念に追い込まれたX線天文衛星「ひとみ」の後継機だ。いずれも、日本だけでなく国際的な宇宙分野の科学研究や技術開発にとって重要な探査機で、打ち上げ失敗は許されない。

 H2Aの発射業務は三菱重工業が担う。宇宙開発に詳しい沢岡昭・大同大名誉学長は「万が一打ち上げ失敗という事態になってしまったら、日本の宇宙開発は氷河期に入ってしまう。国際市場からも見切りをつけられ、信頼を取り戻すまでに何年もの時間を要することになる」と指摘する。SLIM計画を率いるJAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャーは「大切な機体をロケットに預けたら、あとは打ち上げ成功を祈るしかない」と、その瞬間を待つ。【田中韻、松本光樹】

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