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空き家状態の知事公舎、管理費年210万円 もったいない?


 徳島市中心部の幹線道路から少し入った閑静な住宅地に、付近では珍しい木造平屋建て、瓦ぶきの家屋がある。今は空き家となっている徳島県知事公舎だ。築30年を超え、日焼けした木造門や染みの付いた白壁など少々くたびれている箇所もあるが、植木はきれいに刈り込まれており、丁寧に手入れされている印象を受ける。この知事公舎の活用法を巡り、近く話し合いが始まる。

敷地215坪、歴代3知事は入居

 知事公舎から歩いて数分、東に約500メートルに県庁がある。通勤に便利な立地だが、5月に就任した後藤田正純知事は徳島市内の自宅マンションから県庁へ通う。

 県管財課によると、もともと知事公舎は1992年3月、副知事公舎として完成した。712平方メートル(約215坪)の県有地に建ち、建物の床面積は約200平方メートル。公邸部分(2室)と私邸部分(5室)からなり、木造門の前には小型車なら3、4台止められる駐車場もある。円藤寿穂(としお)、大田正、飯泉嘉門の歴代3知事が入居した。

 後藤田知事は4月の知事選当選直後から、自宅マンションの方がより便利だとし、「どうやってあんな大きな家に住むのか想像もつかない」などと入居を否定してきた。災害時などでも対応できるよう自宅には防災無線を備えており、危機管理上は問題ないとしている。

 一方、知事公舎は年間約210万円の維持管理費がかかる。飯泉前知事が居住していた2022年度の場合、県は家賃や駐車場代としてこのうち年間約30万円を飯泉前知事に請求。差額は県が負担した。

 管理費の大部分が税金から支出されることを踏まえ、後藤田知事は7月下旬の定例記者会見で「適切な税金の使われ方を県民に伝えることが大事だ」などと発言。不動産鑑定士や公認会計士、通信や防災に詳しい有識者に、知事公舎のあり方などについて意見を求める考えを示した。

 県は8月18日に有識者による第1回会議を開き、年内の意見集約を目指す考えだ。

各地で見直しの動き

 都道府県知事の住まいでもある知事公舎を巡っては、近年、各地で見直す動きが出ている。

 老朽化した知事公舎のあり方を考える有識者会議を設けた三重県が作成した資料によると、22年10月時点で、47都道府県のうち知事公舎を保有していたのは29自治体(62%)。このうち9自治体は知事が居住しておらず、実際に居住していたのは徳島県を含む20自治体(43%)と全体の半分以下だった。他は自宅や借り上げ公舎に住んでいるケースもあった。

 築44年の三重県知事公舎(敷地面積約1万7000平方メートル)を巡る有識者会議では、危機発生時などの対応場所として評価する意見もあった。しかし、老朽化に伴う大規模な改修は県民の負担が大きいなどとして、否定的な声が上がった。この結果、民間マンションを知事公舎として借り上げたうえ、知事公舎は管理費を削減しつつ利用方法を探ることになった。

 四国では、かつて4県とも知事公舎があったが、香川県が高松市中央町にあった公舎(同約1892平方メートル)を06年に売却した。愛媛県は松山市御宝町に鉄筋コンクリート造り2階建ての公舎(同約1466平方メートル)を現在も所有するが、中村時広知事は10年の初当選時から入居しておらず、松山市内の自宅から通勤しているという。県総務管理課によると、新型コロナウイルス禍以前は会議などで使用することもあったが、現在はそういった活用もしていない。

 一方、高知県は高知市鷹匠町2に、築60年の公邸(同約2392平方メートル)があり、浜田省司知事を含め歴代5人の知事が住まいとしてきた。1963年完成で、大阪・新歌舞伎座も設計した建築家、村野藤吾氏によるデザインだ。県によると、今年度も維持管理費として約400万円を予算計上しているが、見直しを求める動きなどはないという。

【植松晃一】

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