米連邦最高裁判事が30年以上にわたって高額接待で豪遊していた――。非営利の米調査報道機関「プロパブリカ」は10日、連邦最高裁の保守派クラレンス・トーマス判事が1991年の就任以来、複数の共和党支持者の資産家から、ヨットやジェット機での旅行などの高額の接待を受けていたと報じた。
トーマス氏が便宜供与を受けたとされるのは、豪華ヨットによるカリブ海のバハマ周辺巡りなど少なくとも38回の旅行▽プライベートジェット機による26回の送迎▽スポーツイベントの「VIPチケット」12枚▽米南部フロリダ州やカリブ海のジャマイカでの高級リゾート施設滞在――など。
プロパブリカは、総額は「数百万ドル（数億円）に上る」と推定。ヨットによる旅行や高額チケットなどの便宜供与の一部は、資産報告書の情報公開の規定に違反する可能性があると指摘している。プロパブリカは、関係者やトーマス氏の旅行の目撃者など100人以上へのインタビューと共に航空機の運航記録や電子メールなどを分析して報じた。
トーマス氏は、これまでにも共和党の大口献金者である不動産王ハーラン・クロウ氏から豪華旅行の接待を受けた疑惑が指摘されている。最高裁判事は事実上の終身制で米国の価値観に大きな影響を与える司法判断を下すため、米議会でもトーマス氏の接待疑惑が問題となっている。【ワシントン鈴木一生】
