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五ノ井里奈さん救急搬送、体調は回復 陸自強制わいせつ地裁公判


 陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県郡山市)に所属していた元自衛官、五ノ井里奈さん(23)への強制わいせつ罪に問われた元自衛隊員3被告の第2回公判が31日、福島地裁(三浦隆昭裁判長)で開かれた。事件現場にいた元上司の男性の証人尋問が行われたが、被害者参加人として法廷にいた五ノ井さんが体調不良を訴えて倒れた。五ノ井さんは救急車で病院に搬送されたが、代理人弁護士によると、体調は回復したという。

 開廷から約1時間が経過した午後2時半ごろ、それまでかたい表情で証人や被告人を見つめていた五ノ井さんが崩れるようにして倒れた。荒い呼吸音が響き、五ノ井さんは車いすに乗って法廷を出て、救急車で病院に向かった。公判は一時休廷した。

 強制わいせつ罪に問われているのは、当時3等陸曹だった渋谷修太郎(30)、関根亮斗(29)、木目沢佑輔(29)の3被告。起訴状によると、3被告は2021年8月3日夜、北海道の演習場で、格闘技の技で五ノ井さんをあおむけに倒して体に覆いかぶさり、わいせつな行為をしたなどとされる。6月の初公判で3被告は起訴内容を否認し、無罪を主張している。

 この日は、元2等陸曹で、3被告と五ノ井さんの元上司だった男性が証言台に立った。22年10月に3被告とともに性暴力について五ノ井さんに直接謝罪し、同12月に懲戒免職となった。検察側の質問で、元上司は、当初の自衛隊の内部調査について「事実を言わず、『(わいせつ行為は)見ていない』と答えた」と話し、その理由として「3被告を守りたかったという気持ちと、上司である自分が注意できなかったことに責任を感じた」と述べた。

 証言を翻した理由について元上司は「渋谷被告に『全部言いました』と言われ、『自分も全て言うよ』と伝えた。誹謗中傷もある中で五ノ井さんが実名を出して訴えかけている姿に、『なんで自分はうそをついているんだろう』と思った」と説明。一部のわいせつ行為については目撃していないとしつつ、3被告に対し「しっかり最後まで責任をとってほしい」などと訴えた。

 休廷から約1時間後、再開された証人尋問の中で、元上司は五ノ井さんに提出した謝罪文について「自衛隊による事前チェックを受けて内容を直した」と明かし、「謝罪の際に自衛隊から『Q&A』を見せられたが、マニュアルの謝罪だと本当の反省は伝わらないと思いその場で自分の言葉で謝罪した」などと述べた。【岩間理紀】

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