ロシアのプーチン大統領は、露国営テレビが16日に放送したインタビューで、ウクライナ軍が殺傷力の高いクラスター弾を使用した場合、露軍も「同様の対応をする権利がある」と述べた。ロイター通信などが報じた。米国がウクライナにクラスター弾供与を決めて以降、プーチン氏が言及するのは初めて。露軍によるクラスター弾使用を今後、正当化する方針とみられる。
プーチン氏は、ロシアが「多様なクラスター弾を大量に保有している」と主張する一方、クラスター弾の使用は犯罪だと認識しており、これまで使わなかったと強調。しかし、露軍はウクライナ軍に対抗する「権利がある」と述べた。ショイグ露国防相は既に同様の見解を表明している。
バイデン米政権は今月7日、ウクライナ軍の砲弾が不足していることを理由に、通常の砲弾が供給されるまでの「つなぎ」としてクラスター弾を供与すると発表。米軍は13日、ウクライナにクラスター弾の供与が始まったと明らかにした。
クラスター弾は、親爆弾が空中で分解して数十～数百の子爆弾をまき散らし、無差別に広範囲の敵を攻撃する。不発弾が紛争後も民間人に被害を及ぼすため、日本を含む100カ国以上が加盟するオスロ条約で、使用や製造が禁止されている。米露やウクライナはオスロ条約に加盟していない。国際人権団体は昨年2月以降、露軍とウクライナ軍の双方が既にクラスター弾を使用していると指摘している。【エルサレム三木幸治】
