選挙人名簿を不正に複写・利用した神奈川県真鶴町の松本一彦町長の解職請求（リコール）を求め、住民団体が集め、選挙管理委員会が有効と判断した2362人分の署名について、松本氏は14日、自ら縦覧した上で35件の異議を申し立てたことを明らかにした。人口約6700人の小さな町に不安が広がるが、松本氏は「報復はしない」と明言した。
同日開かれた町議会全員協議会とその後に応じた記者会見で、松本氏が答えた。縦覧会場で8、12日に各2時間半にわたって署名を確認し、筆跡が似たようなケースなど35件の異議を申し立てたという。地方自治法は解職請求対象者は全員分の縦覧ができると定めており、松本氏は「私の権利。同一の筆跡なのか、代筆も含めて適正なのか、疑義があった点を申し立てた」と説明した。
ただ松本氏が全署名を縦覧したことで、署名に応じた住民や職員が動揺していると議員らから指摘が出ていることには「報復だの、敵味方に分けるだのはしない」と明言した。
35件の異議申し立てをしてもリコールの解職請求に必要な有効署名数は足りており、今後は解職の是非を問う住民投票が行われる見込み。進退について、松本氏は「公民権停止まで辞めない」という従来の主張を繰り返した。【本橋由紀】
