日本航空傘下の格安航空会社（LCC）、ZIPAIR（ジップエア）の2023年3月期決算最終（当期）利益が22億7220万円の黒字となり、18年の会社設立以来、初めて黒字に転換したことが10日、判明した。23年度前期は50億3029万円の赤字だった。成田空港を拠点に、米国西海岸やハワイ、東南アジア、韓国・ソウルへの中長距離国際線に特化し、低価格を打ち出して観光や帰省、乗り継ぎなどの需要を取り込んだ。
決算公告によると、売上高に当たる事業収入は前期比4・6倍の317億3403万円で、本業のもうけを示す営業利益は28億4020万円の黒字（前期は66億8218万円の赤字）だった。
同社は新型コロナウイルスの影響を受け、旅客便は予定の5カ月遅れの20年10月に就航。初便のソウル行きは利用客2人と厳しいスタートだった。当初は旅客が1桁の状態が続き、貨物輸送の収入で燃料代や空港使用料などをまかなった。
新型コロナの水際対策が22年10月に緩和されると、訪日外国人（インバウンド）を中心に航空需要が徐々に回復し、旅客数を伸ばした。日本と北米間のLCCは同社のみで、米国西海岸を結ぶ路線が好調に推移。21年12月にロサンゼルス線、22年12月にサンノゼ線、23年6月にはサンフランシスコ線を就航。さらに1日にはフィリピン・マニラ線を開設して計8路線の運航となった。西海岸への新規3路線は8月までほぼ満席という。
【中村宰和】
