北大西洋の海底3800メートルに沈む豪華客船タイタニック号の探索中に行方不明になった潜水艇「タイタン」を捜索していた米沿岸警備隊は22日（日本時間23日未明）、無人探査機が海底で潜水艇の破片を見つけたと発表した。深海の水圧による「壊滅的な内部破壊」があったと考えられるという。運航会社は、潜水艇に乗っていた5人は死亡したとみられるという声明を出した。
米東部ボストンで記者会見した沿岸警備隊の担当者によると、潜水艇の破片はタイタニック号の船首の残骸から約490メートル離れた場所に散らばった状態で見つかった。どのタイミングで潜水艇が内破したかの分析については「時期尚早」とした。
タイタンを乗せた母船は今月16日にカナダ東部のニューファンドランド島を出航し、タイタニック号が沈む海域に向かった。今月18日朝に潜航を始め、約1時間45分後に通信が途絶えた。米国とカナダの沿岸警備隊などが空中や海で大規模な捜索を続けていた。
タイタンは、海底探査などを企画する米オーシャン・ゲート社が開発・製造し、運航までを担った。全長6・7メートルで、水深約4000メートルまで潜水できるとされる。同社は7泊8日で1人当たり25万ドル（約3500万円）のタイタニック号探索ツアーを企画していた。
英米メディアによると、タイタンに乗船していたのは操縦士である同社最高経営責任者（CEO）のストックトン・ラッシュ氏▽英実業家のヘイミッシュ・ハーディング氏▽パキスタン実業家のシャザダ・ダウッド氏と息子のスルマン氏▽仏海洋専門家のポール・アンリ・ナルジョレ氏の5人。【ニューヨーク八田浩輔】
