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公務員よ、外に飛び出せ 広がる「副業OK」 二つの狙い


 鳥取県北栄町は今年度、職員が報酬を得て町内の農家や企業などで働ける制度を県内で初導入し、このほど職員説明会を開いた。人口減による町内産業の人手不足を補い、同時に現場での学びを行政に生かす試みで、同様の動きは全国の自治体で広がっている。【阿部浩之】

ラッキョウやスイカ 担い手不足深刻

 同町はラッキョウやスイカの栽培などの農業が盛んだが、少子高齢化や人口減で担い手が不足している。ラッキョウは農機具で植えるが収穫は全て手作業で、後片付けも手間がかかるとあって作業が追いつかない状況が続いている。

 町は、職員が自発的に地域に飛び出し、農業やコミュニティー、文化、スポーツなど町の発展に欠かせない公益性の高い分野で貢献できるよう、内部規定を設けた。長野県は2022年4月、都道府県で初めて県職員が副業で農業に従事することを認めており、町はこうした先行事例を参考にした。

 地方公務員法は営利目的の副業を原則禁じているが、任命権者の許可を条件に例外を認めており、神戸市が副業の許可要件を定めた2017年ごろから規定を設ける自治体が増え始めた。総務省も20年1月、副業を希望する職員が申請しやすいよう具体的な許可基準を設けるよう全国の自治体に通知した。

人生100年時代、多様な体験を糧に

 北栄町の活動要件は、地域貢献に加えて職員の能力と行政サービスの向上が期待される仕事を対象とし、活動は週8時間以内か月30時間以内、または平日の勤務時間外で1日3時間以内としている。営利目的や宗教的、政治的活動は禁じている。副業後は活動報告書を提出してもらう。

 12日の初回研修会には職員15人が参加し、求人者の農家と働き手をマッチングさせるスマホアプリ「1日農業バイト」の使い方をJAグループ鳥取の担当者から教わった。職員からは「所得税の処理方法は?」「労災時の補償は?」といった質問が出た。

 岡本圭司・副町長は「公務員だけをしていればよい時代ではなく、現場を知らないといけない。人生100年時代になり、公務員もいろんな体験が必要」といい、対価を得ることで責任感を持って活動してほしいと伝えた。

 JAグループの「1日農業バイト」は、働き手が希望する仕事や働く日時、エリアなどをアプリで探して農家と条件を詰め、働いて報酬を得る仕組み。北海道で始まった18年は利用者が300人弱だったが、22年は民間人中心に8万人以上となり急増している。全国を旅行しながら働く人や、旅ガラスのように転々とし農業バイトで生活する若者もいるという。

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