starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

平等院鳳凰堂 「鉄を金で彩る失われた技術」解明 複製を展示


 京都府宇治市の平等院鳳凰堂(国宝)の鉄金具にアマルガム鍍金(ときん)(金メッキ)とみられる跡が確認されたことを巡り、平等院はメッキの再現に成功したと発表した。鉄へのメッキは困難と考えられてきたが、表面に銅イオンを付着させる手法で金具を複製した。平等院は「歴史の中で失われた技術を見つけ出した」としている。【鈴木健太郎】

「平安期、工人の苦労・工夫に感嘆」

 アマルガム鍍金は、金属と溶け合う水銀の性質を利用した原始的なメッキ法。金粉と混ぜた水銀を塗る「消鍍金」や、水銀を塗った上に金箔(きんぱく)を押す「箔鍍金」があり、熱で水銀を蒸発させて仕上げる。ただ、鉄は酸化しやすく、金と結合しにくいためメッキはできないと思われてきた。

 平等院の神居文彰住職は、1053年の鳳凰堂の建立時から残る鉄金具に金色の斑点があることに気づき、東京文化財研究所の早川泰弘副所長(現特任研究員)に調査を依頼。蛍光エックス線分析で金と水銀を検出し、2022年9月に「鉄にアマルガム鍍金が施された可能性が高い」との研究成果を発表した。

 これを受けて今回、久保智康・叡山学院教授(美術工芸史)らが宇治市内の社寺装飾の専門業者とともに再現に取り組んだ。金と水銀の配合方法、鉄の表面処理法を変えるなどして実験。作業を進める中で偶然、金、鉄ともに相性の良い銅で鉄の地金を覆えば、金メッキができる可能性にたどり着いた。

 具体的には銅の洗浄に使った梅酢で鉄の表面を洗い、水銀を塗る際も銅製のさじを使用。地金に銅イオンが付着して金と鉄を結び付け、金メッキができることを確認した。更に、堂内に飾りをつり下げるために使われたL字形の鉄金具を実物大で複製。消鍍金、箔鍍金の両手法を使い、いずれもメッキを施すことに成功した。

 久保教授は「メッキの安定性など不明な点はまだ多いが、1000年にわたって古いものを残してきた平等院だからこそ判明した技術だ」と強調。神居住職は「極楽浄土を表現する鳳凰堂内は金色と極彩色でなければならず、金具も例外ではなかった。丈夫な鉄を金で彩る“ロストテクノロジー”が明らかになり、平安時代の工人の苦労と工夫がしのばれる」と語った。

 金メッキを再現した金具は、ミュージアム鳳翔館(ほうしょうかん)で開催中の夏期特別展(9月3日まで)で展示している。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.