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太平洋戦争で巡洋艦沈没、最後の生存者が交流 平和への思い共有


 78年の恩讐(おんしゅう)を越え、日米の「最後の生存者」2人が平和への思いを共有した――。1945(昭和20)年7月に旧日本海軍の「伊号第58潜水艦」の魚雷を受けて沈没した米巡洋艦「インディアナポリス」。その最後の生存者で、米カリフォルニア州在住のハロルド・ブレイさん(95)から、伊58の最後の生存者・清積勲四郎(きよづみくんしろう)さん(94)=愛媛県松前町=に10日、一通のメッセージが届いた。「戦争に勝者はない。より良い世界を築くため、共に努力しましょう」

 インディアナポリスは、広島に投下された原爆「リトルボーイ」の部品をマリアナ諸島テニアン島に運んだ直後、同年7月30日に伊58の攻撃を受けてフィリピン沖で撃沈した。インディアナポリス艦の生存者・死没者家族会のサイトなどによると、乗組員1195人のうち約800人は海上に逃れ、数日後に316人が救助された。2017年時点では22人が存命だったが、現在はブレイさんのみとなった。

 2人を結ぶきっかけとなったのは、22年8月に愛媛県今治市立中央図書館で開かれた平和展だ。伊58に当時最年少の17歳で乗り込んでいた清積さんのインタビュー画像や資料などが展示された。インディアナポリス艦の家族会と交流している米インディアナ大インディアナポリス校講師のハリス田川泉さん(57)が、この平和展を伝える記事をインターネット上で目にし、家族会に知らせた。来夏、米国の学生らによる広島や長崎市への平和学習ツアーを計画しており、その準備のため国際交流基金の助成で来日するのを前に、ブレイさんや4家族からメッセージを託された。

 10日に同図書館を訪ねたハリスさんを通じて清積さんに送られた手紙には、ブレイさんの笑顔の写真も添えられていた。

 「私はあなたに友情の手を差し伸べ、あなたやあなたの同胞に恨みはないと伝えたいのです。戦争が終わった今は癒やしの時です。より良い、より安全な世界を築くために、共に努力していきましょう」

 メッセージを読んだ清積さんは「同じ気持ちじゃったと思うとうれしい」とほほえみ、「とにかく戦争は駄目だ。人と人との殺し合いは絶対に起こらないように」と力を込めた。【松倉展人】

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