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歩くよりもゆっくり、ゆらゆら…八幡堀の舟旅 琵琶湖につながる運河


 水面(みなも)をなでる風が、まあ気持ちいいこと。ちょっとしたぜいたくを感じる。和舟の揺れに身を任せ、低い目線から城下を眺めていると、つい時間を忘れてしまいそうになる。「暑い時にはやっぱり水辺に限る」。そう思って向かった先は湖国の水郷・八幡堀(滋賀県近江八幡市)。【中川博史】

 ちょっとだけうんちくに触れておくと、1585年に豊臣秀吉のおい・秀次が八幡山城を築き、町を開いた際、琵琶湖につながる運河として造られた。それが八幡堀だ。

 物流の要衝として長らく町の発展を支えたが、昭和の高度成長期に入って運河の機能を失い、ドロの堆積(たいせき)や不法投棄などによって荒廃。埋め立ての危機にまでひんしたが、地域住民らの粘り強い努力によってよみがえったそうだ。

 目当ての舟の乗り場はすぐに見つかった。チケット売り場に「日本一遅い乗り物 手漕(こ)ぎ和舟で お堀めぐり」と書いてある。遅さをウリにするとはしゃれている。遊覧時間は30~40分とのこと。

 「揺れますから、気をつけてください」。船頭さんの指示に従って舟に乗り込む。定員は6人。屋根が日差しを遮ってくれて助かる。

 櫓(ろ)をこいで舟が進み始めた。歩くスピードよりも、うんとゆっくりだ。舟が右に左にゆらゆらする。「手漕ぎならではですね」と客同士、顔を見合わせて笑う。

 風がフーッと吹いてくる度に、水面が波打つ。訪れたのはゴールデンウイーク明け。散策するにはなかなかの暑さだったが、舟の上はびっくりするぐらい涼しい。

 古い石垣や商家の蔵屋敷、映画のロケで使われた場所などを船頭さんがいろいろと説明してくれる。聞きながら両岸を交互に見ていると、あっという間に時間が過ぎて、船着き場に戻ってきた。

 途中、風が強くなって舟が逆戻りすることが何度か。「よくあるんですよ」と船頭さん。それなら、そこはご愛嬌(あいきょう)ということで。

八幡堀

 全長4750メートル、幅15メートルの水路。一帯は1991年、国の伝統的建造物群保存地区に選定されている。2006年には、琵琶湖の内湖・西の湖などとともに「近江八幡の水郷」として全国初の重要文化的景観に選ばれた。JR近江八幡駅からバスで7分。

手漕ぎ和舟

 土産店「Gallery Space 新町浜」(滋賀県近江八幡市大杉町30の1)が運営。料金は大人1000円、小人500円(ともに税別)、小学生未満無料。営業時間は平日が午前10時~午後4時、土日祝日が午前10時~午後5時。水曜定休。遊覧は平日が1時間に1本、土日祝日は30分に1本が基本だが、天候などで変更することがある。予約優先。電話(0748・36・5115)。

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