神奈川県警は14日、県内で発生した今年1～3月までの特殊詐欺の被害状況（暫定値）を発表した。被害額は昨年同期と比べて約3億420万円多い、10億1200万円。被害件数は526件で昨年同期比137件増えた。県警によると、「妊娠トラブル」を名目にして現金を要求するオレオレ詐欺が急増しているという。
「不倫をして女性を妊娠させた。示談金を要求されている」。3月13日、横須賀市に住む80代男性の自宅に息子を装った電話がかかってきた。続けざまに、弁護士を名乗る電話があり、「500万円必要です。代わりの者が受け取りに行く」と告げられ、男性は自宅を訪れた人物に現金500万円を手渡した。
さらに再び男性の自宅に弁護士を名乗る電話があり、「今度は息子さんが逮捕されて保釈金が必要になった」と言われ、男性はまた500万円を渡したという。
県警によると、今年1～3月の「オレオレ詐欺」の被害件数は217件で、特殊詐欺全体の約4割を占める。このうち「妊娠トラブル」を名目にした事件は昨年同期より46件多い、53件起きている。
県警幹部は「妊娠トラブルを名目にした詐欺は昔からあるが、なぜか最近増えている」としたうえで、「電話でお金を取りに行かせるなどと言われたら、まず詐欺を疑い、すぐに警察に通報してほしい」と呼びかけている。【鈴木悟】
