小説家でエッセイストの畑正憲さんが5日亡くなった。東京都文京区のホテル椿山荘東京で行われている第81期名人戦七番勝負第1局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、藤田観光協力)で解説に訪れた佐藤天彦九段(35)は自身が名人だった2019年春に畑さんと対談しており、「大変柔らかい人柄でした」としのんだ。
畑さんはマージャンや囲碁、将棋の愛好家としても知られる。対談では、畑さんが将棋を始めて1週間で指せるようになり、さらに将棋盤がなくても、頭の中で思い描いて駒を動かせたというエピソードを明かしていた。これは高段者しかできない難度の高いスキルだという。
佐藤九段は「畑さんの記憶力に驚きました。また、私のネクタイのディンプル(結び目の下に作るくぼみ)を『いいですね』と褒めてくれて、細かいところに目配りをする人でした。動物との触れ合いで、(冬眠中のクマと一緒に寝るなどの)壮絶な経験もされましたが、それを感じさせないほど柔らかな人柄の方でした」と当時を懐かしんだ。【丸山進】