佐賀県上峰町で11、12日にあった第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第6局(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)で、藤井聡太王将(20)が前夜祭(10日)に着用していたネクタイが、にわかに注目を集めている。あしらわれていたのは、知る人ぞ知る“あのネコ”だった。
ネコ好きで知られる藤井王将。前夜祭でもネコをあしらった薄いグレーのネクタイを締めたスーツ姿で現れると、ツイッターにはファンたちが「ネコちゃん可愛い」などと相次いで書き込んだ。この可愛らしいネコ、実は佐賀県のお隣、長崎県で有名な「尾曲がりネコ」だ。市内の会社が生産し、土産物店などで扱われている。
尾曲がりネコの調査・研究をしている市民団体「長崎ネコ学会」(長崎市)によると、呼び名の通りしっぽが曲がっているのが特徴で、江戸時代に海外からの貿易船にネズミ対策として乗せられて長崎に入ってきたとされる。長崎県内のネコの8割を占めるとの調査もあり、地元では「尾で幸運を引っ掛けてくる縁起の良いネコ」と言われている。
藤井王将が尾曲がりネコのネクタイを締めた経緯は不明だが、同学会が運営する「長崎尾曲がり猫神社」(同市)の責任者、琴岡翔子さんは、「藤井王将がネコ好きということは知っていたが、まさか尾曲がりネコのネクタイを着けてくれるとは。今日もしっぽで幸運をひっかけてほしい」と喜び、「これを機に尾曲がりネコって何だろうと興味を持った人が全国から長崎に遊びに来てくれたら」と期待する。
初防衛をかけた羽生善治九段(52)との対局で、幸運の尾曲がり猫が藤井王将の勝利を引き寄せるか――。【平川昌範】