ソニー生命元社員に懲役９年＝１６９億円不正送金「計画的」―東京地裁

　ソニー生命保険の海外子会社から約１６９億円を不正送金し暗号資産のビットコインに交換して隠匿したとして、詐欺罪などに問われた同社元社員、石井伶被告（３３）の判決が１８日、東京地裁であった。小林謙介裁判長は「計画的犯行で、隠匿方法も巧妙」と述べ、石井被告に懲役９年（求刑懲役１０年）を言い渡した。 　小林裁判長は、被告が半年以上前から子会社代表名義のメールアドレスを作り、ビットコイン交換所でアカウントを作成するなど準備していたと指摘。発覚後は第三者を装って「刑事告訴しないことを条件に返金に応じる」とするメールを会社に送っており、「返金よりも刑事責任の回避を重視していた」と非難した。 　一方、ビットコイン相場などの変動で被害より約５２億円多く返還されたことは「量刑判断の考慮すべき事情」とした。 　石井被告は公判で、「ビットコイン投資で利益を得たら返還し、あわよくば一部利益をもらおうと思った」と述べていた。 　判決によると、石井被告は昨年５月、上司の指示と偽り、海外子会社の米国口座から自身の管理する口座に約１億５５００万ドル（約１６９億円相当）を送金。全額をビットコインに交換し隠した。 　ビットコインは日米の捜査協力で全額押収され、約２２１億円が返還された。　（了）【時事通信社】