「怒りを持って抗議したい」＝元死刑囚の妹ら会見―名張毒ぶどう酒事件

　三重県名張市で１９６１年に女性５人が死亡した名張毒ぶどう酒事件の第１０次再審請求異議審で、名古屋高裁が３日、２０１５年に病死した奥西勝・元死刑囚の再審開始を認めない決定を出したのを受け、弁護団が名古屋市で記者会見した。元死刑囚の妹で請求人の岡美代子さん（９２）はリモートで奈良県の自宅から参加。「怒りを持って抗議したい」と画面越しに悔しさをにじませた。 　岡さんは「どうして裁判所は真実に向き合うことができないのか。長生きをして無罪を勝ち取りたい」と語った。 　高裁は、同異議審で弁護団が提出した新証拠について「科学的根拠がない」などと指摘し、異議を退けた。鈴木泉弁護団長は「科学的根拠について求められれば、さらに高裁に説明するつもりはあった。棄却判断は容認できない」と特別抗告する考えを示した。 　中村孝名古屋高検次席検事は「適正・妥当な決定であると考えている」とコメントを出した。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕名張毒ぶどう酒事件の第１０次再審請求異議審の棄却決定を受け、リモートで思いを語る奥西勝・元死刑囚の妹の岡美代子さん（右）＝３日午後、名古屋市中区