「偽物の選挙」「白票も権利」＝投票所前で抗議も―香港

　【香港時事】１９日に投票が行われた香港立法会（議会）選挙では親中派の圧倒的優位が確定しており、投票を呼び掛ける香港政府に対して、市民は総じてしらけた反応だった。一方で、「偽物の選挙」に対する怒りから積極的棄権を選ぶ有権者や、「白票も権利だ」という主張も聞かれた。 　長年民主派を支持してきた女性会社員（３２）は、今回の立法会選を「全く意味がなく、民主のかけらもない」と批判。「『自分は民主派だ』という候補者もいたが、政府に出馬を認められている以上、親中派と変わらない」と不信感をあらわにした。 　同じ民主派支持者でも別の男性（２４）は「投票によって意見表明の権利を行使する」という。男性自身は投票先を明かさなかったが、「ふさわしい候補者がいなければ、白票を投じるのもまた権利であり自由だ」と含みを持たせた。 　１９日午前、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、報道陣の前で一票を投じた。選挙の意義を強調する一方、「政府は投票率の目標値を設定していない。投票率の高低にはさまざまな要因が関係し、過度な深読みは避けるべきだ」と予防線を張った。 　林鄭氏が訪れた投票所の外では、民主派政党が小規模な抗議活動を展開。「林鄭は選挙制度を破壊した」「（この選挙は）ショーだ」などと声を上げた。　【時事通信社】 〔写真説明〕１９日午前、林鄭月娥行政長官が訪れた香港島の投票所前で抗議活動を展開する民主派 〔写真説明〕香港立法会（議会）選の票を投じる林鄭月娥行政長官＝１９日午前