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【連載】ヨガと日常をつなぐ1冊Vol.10 生命力を高める知識アーユルヴェーダを実践する



ヨガをすることがポピュラーなことになった今、その教えを日常に取り入れたいと考えている方も多いでしょう。専門書を手に取るのもいいですが、書店に並ぶ本の中にもヨガのエッセンスが詰まったものがあります。そこでヨガスクールの講師としてインストラクターを養成している筆者が、ヨガの教えをより身近に感じてもらえる1冊をご紹介します。第10回はヨガの姉妹科学「アーユルヴェーダ」の理解が深まる書籍です。


太古から伝わるヨガの姉妹科学

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全体として調和がとれたときに、人はもっともよい状態で、幸福であり、健康であり、魅力的になれる

出典:服部みれい(文筆家・詩人)

僕が「アーユルヴェーダ」という言葉を初めて耳にしたのは、ヨガの指導者養成コースを受講している時だったように思います。
今の日本ではエステやマッサージなど主に美容法と認識されていることが多いですが、実はアーユルヴェーダとはインドの伝承医学であり、民間療法や代替医療などではなく、独自のシステムを持つ医療体系なのです。
アーユルヴェーダの語源は、インドの古い言語であるサンスクリット語のアーユス(生命)という言葉とヴェーダ(知識)というふたつの言葉からなっています。
『ヴェーダ』とは、約5000年以上前のインドにてさまざまな賢者や聖人たちが神から受けたインスピレーションをもとに編纂した、世界最古の書物といわれています。
その知識が僕たちの元に降りてきたのは、僕たちの望みや願望を叶えるためであるとされます。この『ヴェーダ』から脈々と受け継がれてきた伝統からヨガというものが発生し、また一方ではアーユルヴェーダとして発展していきました。
よってヨガとアーユルヴェーダは発祥の原典が同じことから、姉妹科学と呼ばれているのですね。
僕がヨガを学び始めた頃、必然的にアーユルヴェーダにも興味を持ちました。アーユルヴェーダに関する入門的な本を買って読んでみたのですが、「アーユルヴェーダとは一体何なのか?よくわからない」というのがアーユルヴェーダに対する当初の印象でした。
きっと多くの人にとっても、アーユルヴェーダという伝統的な医学体系の全体像はなかなか掴めないのではないでしょうか。

アーユルヴェーダ=本質的な幸福を追求するライフスタイルの実践

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そんな悶々とした頃に『わたしが輝くオージャスの秘密』という本に出会っていたら、アーユルヴェーダに対する理解がもっと深まっていたのかなと思います。
この本の著者である服部みれいさんは、「新時代を生きぬく知恵」をテーマに様々な角度から情報を発信している文筆家です。
幅広くそして奥深いアーユルヴェーダの世界観を「オージャス」というキーワードから優しく紐解いています。そしてなにより、分かりやすくて、とても実践的な内容です。
この書籍の中で「オージャス」とは、人生に関わる生命エネルギーと定義。オージャスが増えることで、健康で元気な体になる、心穏やかで美しく、魅力的な人になれるなどの効果があるとのこと。



そして、アーユルヴェーダの知恵からその生命エネルギーの増やし方や減らさないようにするための方法が、食事のとり方や生活の仕方に及んで紹介されています。
アーユルヴェーダで考える生命とは、単に肉体のみを指すのではなくて、心、体、五感、魂の複合体を指します。つまりアーユルヴェーダでは全体的に僕たちの存在を捉えていて、決して部分的ではないのです。
今、ホリスティック(全体的、包括的)という言葉がひとつのブームとしてありますが、アーユルヴェーダでは、当初から人間を全体的にみることの重要さを説いています。
アーユルヴェーダのテーマは、有益なライフスタイルと無益なライフスタイル、幸福なライフスタイルと不幸なライフスタイル、人にとって有益なことと無益なこと、人生の長さについて考察することであると定義されます。
また、アーユルヴェーダでは病気にならないように人々の生活指導に力を入れています。つまり太古から予防医学に力を入れていて、ヨガや呼吸法などを治療の大きなサイクルの中に取り入れるなど、統合医療の先駆けでもあったのです。
ヨガ同様、アーユルヴェーダも「いかに生きるのか?」を問う普遍的で実践的な哲学なのだと、服部みれいさんの作品を通じて改めて痛感しました。
アーユルヴェーダとは医学として病気の治療や予防を行う以前に、本質的な幸福を追求するためのライフスタイルなのです。

心身の健康や幸せな暮らしを保つことはいつからでも始められる

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では、アーユルヴェーダで考える不調や病気の原因とは何なのでしょうか。
アイアンガーヨガの創設者であるB.K.S.アイアンガー氏は、人々の病気の要因をヨガとアーユルヴェーダの観点から以下のように述べています。
ヨガによれば病気の原因は、心の動揺である。一方アーユルヴェーダでは病気は身体の構成要素のアンバランスに起因している

出典:『ヨガの樹』B.K.S.アイアンガー著 2015年 サンガ

ヨガは心理的、精神的な方法で心を鎮め、収めることをしていき、アーユルヴェーダでは身体的、生理的な方法で心と体を整えることをしていきます。
ところで、不調や病気の原因となる体の構成要素のアンバランスとはどのようなことなのでしょうか。
アーユルヴェーダでは、私たちはヴァータ・ピッタ・カパと呼ばれる3つのエネルギー(トリドーシャ)を持っているとされます。
このトリドーシャは生まれた瞬間から一生変わらないもの(プラクリティ)と、生活や環境によって変化していくもの(ヴィクリティ)に分けられます。
このエネルギーのアンバランス状態や特定のエネルギーが過剰に増悪することが、体の構成要素のバランスを崩していくと考えるのです。
次に、アーユルヴェーダでは体を構成する要素を7つの体組織(サプタダートゥー)として以下のように表しています。
1血漿(けっしょう・ラサ)、2血液(ラクタ)、3筋肉(マンサ)、4脂肪(メーダ)、5骨(アスティ)、6骨髄(マッジャ)、7生殖組織(シュクラ)
食物が体内に入り消化されることで血漿ができて血液となり、血液が筋肉に行き渡って脂肪が形成され骨となり、骨から骨髄が作られて生殖組織となります。
この過程では都度、養分が消化されて、老廃物(マラ)が作られ排出されます。この流れがスムーズで各組織が潤い、きちんと働いていれば、最終的にオージャスとなって僕たちの心と体に現われるのです。
反対に、これら7つの組織に十分に滋養が行き届かずに各組織が機能しないことが、不調や病気を引き起こします。

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また、アーユルヴェーダでは消化力(アグニ)をとても重要視しています。いかに体内に(心にも)毒素(アーマ)を溜めずに排出できるかが大切なのです。
よって、体質や食材、調理法、食べ方、物事の考え方なども通して、より消化力が高まるベストな方法を選択します。
そして日常の日課(ディナチャリア)として瞑想、舌を専用の器具で磨く、セサミオイルでのうがい、オイルでの体や頭のマッサージなどを行い、体と心から毒素を排出して免疫力が高まるようにと五感のケアを怠りません。
消化力(アグニ)を高めて、効果的に毒素(アーマ)を排出する。そうすることで僕たちのエネルギー(ドーシャ)のバランスが整い、7つの体組織(サプタダートゥー)に滋養が行き渡り、十分に機能することで僕たちが内側から輝く「オージャス」を手に入れることができます。
心身の健康や若返りを保つための行動の指針や心の在り方もアーユルヴェーダはヨガと同様に明確です。
服部みれいさんの本には「オージャスを増やすことは誰にでもできる、すぐに始められる」と記されていました。ヨガの練習と共に「オージャス」を増やす習慣をスタートしてみましょう。

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