先日、ここcitrusにラブホをネタにした原稿をアップしたら、それが意外にも好評だった(っぽい)ので「もう一本書いてみよっかな…」と「ラブホテル」に「歴史」「ウンチク」「ヘンな客」……などのワードをくっつけてネット検索してみると……「日向琴子」なる固有名詞が複数、それもわりと多くヒットした。

 
私はこの日向琴子さんのことをよく知っている。本業は漫画家で、「ラブホテル評論家」の肩書きをも持つキレイなおねえさんだ。15年ほど前に、現在は廃刊となった某男性向け情報誌で対談して以来、「キレイなおねえさん」ゆえ下心込みで、何度も食事やお仕事をご一緒させていただいた。

 
19歳で鹿児島県から上京し、22歳で漫画家デビュー。28歳のときに、新宿ルミネ前で「グラビアアイドルにならないか?」とスカウトされ、その事務所でのはじめての仕事が「水着姿で毎週ラブホテルを紹介する」という連載で、ある日、担当編集氏が「1年半もやってきたんだから評論家を名乗っていいんじゃない?」とポロリ提案したのが、「ラブホテル評論家」になったきっかけだったという。水着姿が雑誌グラビアとして成立するくらいセクシーな女性が、「評論」をできるまで「ラブホ」に精通している──(私をも含むw)当時の男子たちが、そんなプロットに色めき立ち、あれやこれやの妄想に駆られたのも無理はない。

 
昨今、「恋愛」だとか「婚活」だとかのふわっとした概念に「評論家」だとか「コンサルタント」だとかの肩書きをプラスした、そこそこ見栄えのいい男女によるコラムがSNSやネット上に氾濫しているが、「ラブホテル評論家」で検索をしてみても、いまだ日向さんの一人勝ち状態で、他の名前はほとんど出てこない。いくらラブホが具体性に帯びた(やや)アンダーグラウンドな分野だとはいえ、これってけっこうすごいことだと思う。

 
2019年に、日向さんが『FREENANCE MAG』というネットメディアのインタビューに応じ、「ゼロからラブホテル評論家として世間的に認知されるまで」の道のりについて語っていた。

 
まずは「経営者目線で論じることができるだけの知識を得ること」。早い話、ラブホについて猛勉強しろってことなんだが、では実際、どんな風に勉強すればいいのか? もちろん、取材先のスタッフやオーナーにいろんな質問をして現場の事情を教えてもらったり、関連書籍を読み漁ったりすることも大切だが、とにもかくにも「ちゃんと利用しまくることがもっとも重要」だと日向さんは断言する。ちなみに、彼女がこれまでラブホに訪問した数は3000回以上! しかし、男子諸君の妄想の腰を折るようで恐縮ではあるのだけれど、その99.9%がお一人さま利用……そのほうが客観的な視点で滞在中のラブホテルを観察できる……らしい。

 
次に「業界全体のニーズに着目すること」。たとえば、近年ラブホテル業界全般が「業界のイメージを変えたい」「女性目線を大切にして女性客を取り込みたい」……と強く望んでいるトレンドを敏感に察知して、メデイアで「ラブホテル女子会」をプッシュする──こうした需給ともどもウィンウィンの関係を築くことによって、業界に受け入れられ、次第に「第一人者」の地位へと登りつめていったわけである。

 
そして、最後は「ブログなどで記事を100本以上書くこと」。文中、日向さんは「ハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんが、3ヶ月もあれば書けますよ」とサラリ述べていたものの、私は「温泉マイスター」の資格をすでに半年も前に取得したにもかかわらず、まだ温泉関連のコラムは5本程度しか書けていない。やっぱ「ハードル」は……むちゃくちゃ高いっす!

 

 
「評論家は言ったもん勝ちのようなところもあるので、評論家になること(自体)は誰にでも可能でしょう。ただし、それが世に認知されるとはかぎりません。

とりあえずは自分の専門分野を持って、その分野で突出することが大事。でもニッチすぎても声がかからないので、見極めも大事なんです。ポイントは自分のニーズよりも他人のニーズを満たすこと。そうすれば、きっと声はかかるはずです」

 
……と、日向さんはインタビューを〆る。素晴らしい金言ではないか。ところで、日向さんは昨年の暮れに高野山真言宗別格本山『清浄心院』で行われた得度式で出家したと聞く。今後も従来通りの仕事を続けながら、修行に励んでいくとのことだが、よりいっそうのご活躍を陰ながらお祈りしたい。

▶ 面接官に「子供が熱出したら?」と聞かれたら… 賢い返し方に賞賛の声
▶ 自衛隊で遅刻した時のそれぞれの "叱り方の違い" が話題!空自「お前が遅れた数秒で…」
▶ 食事中に膝の上に乗ってくる息子。優しくたしなめて食べ終わるのを待ってもらうようにしたら…次の展開にほっこり

情報提供元:citrus
記事名:「たくさんいそうで案外いない「ラブホテル評論家」への険しい道のり