1996年。街にはアムラーやコギャルたちがあふれていた頃。街には"ガングロギャル"と呼ばれる少女たちが大勢いた。この姿を楽しんでいたM。それは彼女にとって好都合だったから。


Mのこのスタイルはおしゃれ以外の理由があった。インパクトのあるガングロメイクと、派手なウィッグはある秘密を隠す武器。それは......頭。Mは、恐ろしい、ある「クセ」により、この姿になった。


ぼーっとしていると無意識に手が頭へ......そして毛を抜いた。1本抜くともう止まらない。毛根を観察するM......立派な毛根だと達成感があったという。そして抜いた髪をしごく。この繰り返しが止まらない。抜きたい衝動に勝てず、山のように抜け落ちた髪の毛が。そして、この「クセ」は家族にも隠していた。


この「クセ」の正体は......髪を抜かずにはいられない心の病「抜毛症」だった。ストレスが原因で発症するといわれ一種の自傷行為とされる。傷つけることで安心を得てしまうケースもあり自分の意思でやめることが難しい。Mの場合、ストレスの原因は家庭だった。


それはMが小学生のころ......すでに父と母の仲は冷え切っていた。両親のケンカを目撃することもしばしば。そんなMにとっては、7歳年上の姉が頼りだった。ある日、枝毛を抜く姉の真似をしてみると、この感覚が髪を抜く「クセ」になってしまった。


気づけばありえないくらいの大量の髪の毛が抜け落ちた。母親に止められてもやめられない。彼女もこの頃は抜いても生えてくると思っていたのだ。

 


■ウィッグでごまかしながらの生活

 

母は娘の異常な行動を放っておけなくなった。Mは喘息持ちのため、病院に定期的に通っていた。そこで......母は娘の症状を医師に相談。Mにはこれが忘れられない日になった。他人に話すなんて......猛烈に恥ずかしかったのだ。


中学生になっても「クセ」は続いていたが髪の毛がなくなる恐怖はまだ感じていなかった。しかしある出来事が......両親の喧嘩はますますエスカレートし、ついに離婚が成立。姉のそばを離れたくなかったMは、父と姉と一緒に生活していくことを決めた。両親の離婚を機に髪を抜くクセはひどくなり、地肌がどんどん広がる 


通常、髪は3年から6年かけて自然に抜ける。しかし、無理やり抜くことを繰り返すことで毛の幹細胞が傷つくと生えて来なくなってしまうのだ。ついにMも恐怖を感じはじめた。すぐに軍手をはめて指で髪を掴めないようにしてみるが......我慢すればするほど、抜きたいという衝動は強烈に。


髪を抜くことがやめられず、地肌を隠せなくなると、あるモノに頼り始める。それは襟足ウィッグ。本来は襟足に足して長さを楽しむものだが、Mは自分の髪にこれをつけてむきでた地肌を覆う方法を考え出した。


ウィッグの縁を髪で覆い隠せば、自然な分け目になる。完璧なまでに隠すことができたつもりでいた。しかしある日の事、父から渡されたのは......育毛剤。父は、年頃の娘を心配して買ってきたのだが......Mには、猛烈な恥ずかしさしかなかった。
 

父に気づかれていた......という事は、みんな知っているのでは?そう思うと恐ろしくて、ますます隠し通そうとしてしまう。だから体育は理由をつけて見学。プールがある日は欠席した。この頭では美容院にもいけない。だから自分で切るしかない。


やめたいのにやめられない......この苦しみを誰にも打ち明けられない。こんな秘密を抱えたまま高校へ進学。襟足ウィッグの数も増えていった。

 


■お金を稼いでも......カツラの費用に消える毎日

 

その頃、ある物との出会いが彼女を救う。それが......ガングロメイクだった。必死で隠してきた頭もおしゃれにカムフラージュ。Mは初めてバレてしまう恐怖から解放されたのだ。


一方で、このメイクはMから髪を抜くのを止めようと思う気持ちも奪っていった。髪を抜くクセはエスカレートし、もはや襟足ウィッグだけでは厳しい状況に。


やむにやまれず、カツラメーカーを訪ねた。そしてその帰り道、ある人物を呼び出した。それは家を出た母。Mは母のせいでこうなったと苛立ちをぶつけ、カツラにかかる費用20万円を出すよう迫ったのだ。
 

しばらくして......カツラが出来上がった。一部を自毛で編み込み接着剤で固定する、20万円のカツラは完璧だった。高校卒業後、エステティシャンや派遣会社の事務職などを転々とし、お金を稼ぐ毎日。それはカツラのサイズを大きくするたびにお金がかかるため。頭髪が減り、カツラの代金も50万円以上になっていた。


それを稼ぐため、キャバクラで働き始めたM。派手なウィッグで頭を隠せるのは都合が良かったが、稼ぎは全てカツラへ消えて行く。そして、1人になればまたあのクセが始まってしまう。一体いつまでこんな生活を......答えは出ないままだったが、ある出会いが彼女を変える。

 


■芸者を目指す彼女に、運命の出会いが!

 

ある日、キャバクラの客が知り合いの芸者を店に連れてきた。Mの目に留まったのはカツラ。そしてこう思った......自分も芸者になりたいと。知り合いのつてを頼り、Mは芸者の世界に飛び込んだ。


やがて住み込みでの生活が始まった。だが、自分の髪のことを置屋の女将や髪結いに隠し通すことはできない。Mは覚悟を決め、自分の髪のことを告白した。


M「私、この頭、カツラなんです。自分の髪がありません。この頭でできますか?」 


2人は笑顔で彼女を受け入れた。Mは初めて本当の自分を認めてもらえたような気がした。一人前の芸者になるための稽古が始まった。日舞の先生はMよりも34歳も年上の60歳を過ぎた男性だった。先生に認められたい......Mは必死で芸を覚えていった。そしてついに夢が叶ったM......芸者としてお座敷で舞うことができるように! 


そして芸者になってから11年......39歳になったMさん。現在もカツラを使用している。カツラをとるとその姿は......スキンヘッドになっていた。人前でこの姿を見せられるようになったのは、ある人物の存在があったから。


それは現在の夫。実は彼女、あの日舞の先生と34歳の年の差婚!しかもプロポーズは彼女からだった!芸者を目指すうち、先生の寛大さと優しさに惹かれたのだという。そして彼女は結婚3年目にしてスキンヘッドにすると宣言。
 

剃りあげたMを見てご主人は、「生の観音様のようだ」と感じたという。そして、2人の男の子にも恵まれた。2016年、Mは頭を剃りあげた写真をブログにアップした。すると、とんでもない展開になった!


スキンヘッドの写真をブログにアップすると独特な美しさが話題を呼び、今は抜毛症のモデルとして活躍するほどに!彼女は現在、ASPJ(Alopecia Style Project Japan)という団体を運営し、抜毛症をはじめ髪の悩みを持つ女性達の交流の場を作り、社会的な認知活動に力を注いでいる。(2019年6月11日 ON AIR)

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情報提供元:citrus
記事名:「髪の毛を抜くのがやめられない…?10代女子が誰にも言えず苦しんだ症状とは