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いくらノドが渇いても、決して海水を飲んではいけない理由




熱中症対策として塩分を摂ることは大切です。しかし「いくらノドが渇いても海水を飲んではいけない」という話を、皆さんはご存じでしょうか?





海水の塩分濃度は約3%。対して、人間の体液中の塩分濃度(ナトリウム濃度)は約0.9%。そして、体液中より3倍以上もナトリウム濃度が高い海水を飲めば、体内のナトリウム濃度は急上昇します。そうなると、体内のセンサーが働き、脳から「ノドが渇いた」と指令が発生する。つまり、本来は下げなければならないはずのナトリウム濃度が、



「ノドが渇く」→「海水を飲む」→「ナトリウム濃度が上昇」→「さらにノドが渇く」→「さらに海水を飲む」→「さらにナトリウム濃度が上昇」



……といった負のスパイラルへと陥ってしまうわけです。





もう一つ。これはやや極端な例かもしれませんが、過去に



 






米国で醤油約1リットルを飲んだ19歳の少年が、ナトリウムの摂りすぎで瀕死の昏睡状態になった。




との報告もありました。ちなみに、塩の致死量は体重1㎏あたりで約3〜3.5g。体重が60㎏だと180〜210gです。醤油の塩分濃度は16〜18%なので、1リットルになれば約160〜180gの致死量に近い塩分が含まれていることになります。幸い、上記の少年は医師たちの懸命な治療によって一命を取りとめたそうですが、まだ若くて元気な人でさえ、このような“過剰な塩分摂取”は非常に危険とされており、高ナトリウム血症の原因となることもあります。



 



 



■「漬け物」からイメージする高ナトリウム血症





「高ナトリウム血症」とは、血中のナトリウム濃度が高くなることによって、口の渇きや血圧上昇などが起こり、進行すると、錯乱・痙攣・昏睡・クモ膜下出血……など、深刻な症状を起こしうる電解質代謝異常症の一つです。





人間の身体は水を必要としています。水があることで、はじめて臓器が正常に働くのです。汗や尿にも塩分(ナトリウム)は含まれていますが、体液のナトリウム濃度よりも薄いため、発汗や排尿によって水分が体外に出ると、体内のナトリウム濃度は相対的に上昇します。その上昇を抑えるには、体内に水分を補給して薄めてあげないとダメなのです。もし、体液中のナトリウム濃度が高い状態が続くと、浸透圧により細胞内の水分が体液中に移動してしまうことになります。





たとえば、「漬け物」をイメージしてみてください。漬け物をつくるときは、塩漬けにしますよね。すると、野菜の細胞と塩水が触れあって、シワシワの状態になってしまう。なぜなら、塩水のほうが野菜に比べ濃度が高いので、野菜の中から水分が出ていくからです。





人間の身体で考えると、「野菜」は「私たちの細胞」、「塩水」は「私たちの体液」に該当します。すなわち、私たちの細胞を覆っている体液の濃度が高いと、浸透圧により「細胞内の水分」が「細胞外の体液」へ出ていってしまい、そうなれば私たちの細胞は、漬け物のようなシワシワの脱水症状を引き起こすわけです。





高ナトリウムによる細胞内脱水は、細胞の核を崩壊してしまうこともあります。これらの障害が脳細胞にまで到った場合、さまざまな脳症をきたし、悪化すると死亡するケースすらあり得るのです。



 



 



■高ナトリウム血症の死亡率は成人で約50%





「成人の高ナトリウム血症の死亡率は40〜60%」という高い数値を示すデータもあり、その根拠としては「脳浸透圧上昇の及ぼす影響」や「飲水不能な状態を通常もたらす持病の存在」などが指摘されています。とくに高齢者は、水分摂取困難・口渇機構障害・腎濃縮能障害……などになるケースも多く、高ナトリウム血症になりやすいとされているため、十分な注意が必要でしょう。





高ナトリウム血症の原因で、もっとも顕著なのは脱水によるもの。先にも申したとおり、水分をほとんど摂取しなかったり、嘔吐・下痢・過度の発汗や利尿が続くと、体液が失われ、脱水症状を起こしてしまいます。





高ナトリウム血症の予防法は、とにかく水分を補うこと。加齢すればするほど、脱水はしやすくなるので、水分は定期摂取したほうがよいでしょう。ただし、大量の発汗や下痢・嘔吐による高度な脱水の場合、急に水分をガブ飲みすれば、逆に「低ナトリウム血症(水中毒)」になるリスクもあるため、適度な塩分や糖分の摂取も心がけてください。



 



【関連記事】



高ナトリウム血症とは……塩水・醤油の死亡リスク 



 



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