インディペント映画を対象としたアメリカのサンダンス映画祭。

この映画祭で監督賞と審査員特別賞のダブル受賞を果たした、心に深い余韻を残す映画が公開中だ。

まず特筆されるべきは、この物語がサンフランシスコにルーツを有する監督と主演俳優の個人的な物語であるということ。

ジョー・タルボット監督は、幼なじみのジミー・フェイルズの実体験を彼自身を主演に据えることで見事に映像化した。

経済の発展と地価の高騰で変わり果ててしまった街・サンフランシスコ。

その街で取り残された人間たちの1人であるジミーが自分にとって真に大切な心の拠り所にどこまでもこだわり、それを自分の手に取り戻そうとする様は、哀しくもあるが、それ以上にたまらなく愛おしい。

ジミーの心の拠り所となる「家」は、サンフランシスコ特有のヴィクトリアンハウス(19世紀半ばから20世紀初頭にかけて建てられた美しい住宅)であり、この造形や内観は何とも魅力的だ。

建てられて100年以上が経過するその家には、物語それ自体の暖かみが確かに宿る。

物語を彩る映像や音楽にも触れないわけにはいかない。

時折挟まれるスローモーション、サンフランシスコの坂道を走るスケボー、時に煽動的に時に優しく流れる音楽の数々。

これらの映像や音楽は、発展と合理化の名の下に見捨てられていった人々の想いをエモーショナルにしっかりとこちらへ届けてくる。

自らのかけがえのないルーツを今も忘れずに大事にしてる人たちにはもちろん、忙しい都会の日常を送るうちにお金さえあればどこにでも住めるような感覚になってしまった人たち、にも少し足を止めて、是非観てみてほしい作品だ。

 

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

■監督・脚本:ジョー・タルボット
■共同脚本:ロブ・リチャート
■原案:ジョー・タルボット、ジミー・フェイルズ
■出演:ジミー・フェイルズ、ジョナサン・メジャース、ロブ・モーガン、ダニー・グローヴァー
■配給:ファントム・フィルム

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記事名:「【レビュー】変化に取り残された人間の、いつまでも変わることのない郷愁―『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』