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妻夫木聡「ただの映画で終わらせたくない」直木賞受賞作「宝島」実写化、共演に広瀬すずら


映画「宝島」に主演する妻夫木聡

作家・真藤順丈氏の2019年(平31)の直木賞受賞作「宝島」が実写映画化され、妻夫木聡(43)が主演することが21日、分かった。米国だった戦後の沖縄を舞台に、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を描いた原作を「るろうに剣心」シリーズや23年「レジェンド&バタフライ」などで知られる、大友啓史監督(58)が実写化する。

共演には広瀬すず(25)窪田正孝(35)永山瑛太(41)が名を連ねた。日米共同製作で、完成後は国際映画祭への出品を視野に入れる。東映とソニー・ピクチャーズによる共同配給で25年に公開し、北米をはじめとした世界配給を目指す。

「宝島」の実写化は、18年6月に刊行された原作を、米ハリウッドに拠点を置くLUKA Productions Internationalの五十嵐真志プロデューサーが同9月に読み、すぐに大友監督に声をかけた。NHKに在籍中の01年に放送された連続テレビ小説「ちゅらさん」で舞台の沖縄を撮影してうた同監督は、原作にほれこみ、ともに映像化を志した。出版元の講談社とやりとりをしていた中で、19年1月16日に原作が直木賞を受賞したことで、映像化の構想がより具体的になり、同10月ころに脚本開発がスタートした。

20年に全世界に拡大したコロナ禍による撮影延期などもあったが、今年2月にクランクインした。妻夫木は「この作品のために長い間準備をしてきました。コロナで延期もあり、途中もう無理かもしれないと思う時もありましたが、まさに『宝島』の主人公たちと同じように、いちるの望みにしがみついて監督、スタッフ、キャストとともにようやくここまで来ました。満を持して今、撮影に挑めていることに、この上ない幸福感を毎日かみしめております」と感慨を口にした。

劇中では、永山が演じる“戦果アギヤー”の英雄的存在であるオンの親友グスクを演じた。予定外の戦果を手に入れて突然、消息を絶ったオンの痕跡を、警察官になって追う役どころだ。妻夫木自身、コザを舞台にした06年の映画「涙そうそう」に主演しており、沖縄には深い思い入れがあった。「映画『涙そうそう』でも、このコザという街が舞台でした。あの素晴らしい出会いから18年、再びコザを舞台にしたこの作品でグスクを演じることに運命を感じています」と力を込めた。

広瀬は小学校の教師になり、恋人オンの帰りを信じて待ち続けるヤマコを演じる。「脚本を初めて読んだ時、こりゃ大変だぞと思いました。スケールが大きく、言葉の掛け合いや感情のぶつかり合いなど、現場でどんな空気が生まれるのか楽しみでした」と、脚本を読んだ第一印象を語った。大友監督とは初タッグとなるが「クランクインの前に監督が『この作品では太陽でいてほしい』とおっしゃってくださったのがストレートに自分に届き、ヤマコはみんなの希望になっていいんだと、全力で演じたいと思いました」と率直な思いを語った。

撮影は4月17日に沖縄撮影パートがクランクアップし、同27日から都内スタジオ、関東近郊、和歌山ほかで本土撮影パートがクランクインした。広瀬は「まだ撮影の半ばですが、これまで、監督が本当に分かりやすく興奮されてる姿をたくさん見て、元気をもらえています。段取りから監督・キャストが話し合って作り上げていくシーンたちはとても濃厚で、地方に長くいた事もあって、みんな家族のような温かさと、信頼が生まれている現場です。お芝居に没頭できるような環境を作ってくださってとても居心地がいいです」と撮影の印象を語った。その上で「エネルギーを吸い取られるほどのチームの熱量は、映画にそのまま映るような気がしていて、私自身も既に完成が楽しみです。まだまだ撮影はありますが、身を引き締めて向き合いたいなと思います」と残りの撮影に向けて意気込んだ。

窪田は、消えたオンの影を追い求めてヤクザになる弟レイを演じる。「米国の統治により全てが支配下となった沖縄で、英雄と呼ばれた偉大な男を兄にもつ弟、レイを演じます」と役どころを説明。作品については「脚本の壮大さに驚き、とてつもない大作になると確信した一方、戦争という暴力でむしばまれた琉球の魂の癒やしに、この映画が少しでもつながっていくことを深く願っています」と評した。

大友監督とのタッグは、12年の「るろうに剣心」以来12年ぶりとなる。「情熱の絶えない大友監督が描く『宝島』は、どんな情景、感情の色彩をしているのか、現地で体感できることが楽しみです。共演者も熟練された実力者の方ばかりなので気を引き締め精進し、現場で生まれる芝居、その変容を楽しみながら、『宝島』の一部になれたらと思っています」と期待した。

永山は、島中が憧れ慕う英雄的存在で、20年の歳月を経て衝撃の真実が明かされるオンを演じる。大友組への参加は初めてで「大友監督の作品への大きな愛と覚悟をかたわらで強く感じています」と印象を語った。その上で「妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、という絶対的に信頼できる役者さんと共に、戦後の沖縄で、彼らが未来をしっかりと見据えて力強く生きた証を作品の中で残せるよう、身も心も大友組にささげたいと思いました」と、オファーを受けた思いを語った。そして「昨今の生きづらさみたいなものや、どこにぶつけたらいいか分からない熱量のようなものを、この『宝島』のオンを通して全身全霊で出し切りたいと思います」と語った。

本土撮影パートは、6月上旬にクランクアップを予定している。妻夫木は「沖縄には、いまだ続いている問題がたくさんあります。みんなの言葉にならない声を芝居に変えて伝えていくことが、この作品に導かれた僕の使命だと思っています。僕はこの『宝島』をただの映画で終わらせたくありません」と、映画化への揺るぎない覚悟を示した。そして「人の心を突き動かすことは容易ではありませんが、今を生きる私たちがどうあるべきか、どう生きていくのか、一緒に考えていきたい。映画という枠を超えて1つになれる、この映画にはその力があると信じています。最後まで覚悟を持ってみんなで突き進んで行きたいと思います」と、映画の力で現代を生きる人々に問いかけたいと強く訴えた。

大友監督、企画プロデューサーの五十嵐真志氏、原作者の真藤氏も、それぞれコメントを発表した。

▽大友啓史監督 「諦めるな、何が何でも生きろ」と、全ての人の背中に向けて、そう問いかけているかのような。原作を初めて読んだ時に浴びた熱量の渦、その火照りがいまだ冷めずにいる。映像化を志して既に数年。準備を続ける中でコロナ禍に襲われ、何度も立ち止まり。その都度僕は、原作から受け止めたメッセージを自分に言い聞かせ、それを胸の奥でかみしめながら前に進んできた。「諦めるな、生きろ」と。時代はいつしか平成から令和に変わったけれど、それでも私たちが記憶の底で、遺伝子の隅々まで忘れてはいけない物語が確実に存在する。戦後の沖縄を舞台に描かれる「宝島」は、まさにそんな類の物語だ。蛮勇にも近いこの冒険に集まってくれた俳優・スタッフたちと力を合わせ、多くの人に希望と勇気を感じていただけるような、そんな作品を粘り強く作りあげたい。そして、グスク、レイ、ヤマコ、オン等劇中の魅力的な登場人物たちと共に、熱気あふれるあの時代を最後まで全力で駆け抜けたい、そう思います。

▽五十嵐真志氏 素晴らしい原作に出会い、大友監督と一緒にぜひ映画化したいと、時間をかけて準備をしてきました。当時アメリカの統治下だった戦後の沖縄を描く、スケールの大きな作品のため、アメリカとの共同製作という体勢で臨みます。

▽真藤順丈氏 あらゆる近現代の物語は“沖縄”に通じる-そう信じてコザのセンター通りでほぼ路上生活を送りながら構想を固めていたころは、本作を映像化しようという蛮勇がこの国の映画界に残っているとは思ってもみなかった。たくさんのご厚意にあずかって、沖縄のロケやスタジオ撮影を訪ねる機会に恵まれたが、そこでさらに確信を深めることができた。大友啓史監督を始めとする傑(すぐ)れたスタッフや俳優陣が立ち働く現場には、戦後日本の“青春時代”ともいえる『宝島』の時代が現前していた。現場の袖には当時の資料写真が配され、美術や装飾によって風景は時間をさかのぼり、照明がほの暗い世相の陰と陽をさばき、モブの一人にまで注がれる演出のはざまを自在にカメラの目が抜けていく。ぶっちゃけ作り手として羨望(せんぼう)や嫉妬をおぼえるほどの(この現場でぼくが『宝島』を撮りたいとすら願った。S・キングの『シャイニング』になりそうだから止めておくけど)とめどない現場の熱が、おなじ地平の、おなじ方向へと向かっている。この作品ならきっと、沖縄人たちが死に物狂いで獲得してきたもの、払われた犠牲、暗闇の奥から差しだしてくれている祈りの手を、映画という形でつかみ返してくれるはずだ。なおかつ、凋落(ちょうらく)するエンタメ産業にひとつの革新的な“解”をも示してくれるだろう。以上、原作者のひいき目抜きには語れませんけどね、これはとんでもないところまで到達する邦画になる。一人の映画ファンとして上映館で「あきさみよう!」とわななくような高揚と歓喜をおぼえる日を心待ちにしています。

◆「宝島」沖縄が米国だった時代に、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える戦果アギヤー“と呼ばれる若者たちがいた。その中心にいたのは、いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼なじみのオン(永山瑛太)グスク(妻夫木聡)ヤマコ(広瀬すず)レイ(窪田正孝)。中でも英雄的存在で、リーダーとして引っ張っていたのが一番年上のオンだった。ある襲撃に全てを懸けて臨んだ夜、オンは「予定外の戦果」を手に入れ突然、消息を絶つ。残された親友のグスクは警察官、恋人のヤマコは小学校の教師、弟レイはヤクザになり、それぞれの思いを胸にオンの失踪の謎を追う。

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