災害を題材にしたフジテレビ系連続ドラマ「ブルーモーメント」（水曜午後10時）に、女優玉田志織（22）がレギュラー出演している。
サイコパス部下を演じた、テレビ朝日系「離婚しない男－サレ夫と悪嫁の騙し愛－」に続き、2クール連続の連ドラ出演。新進気鋭の22歳が今作を通じて視聴者に伝えたいこととは。東日本大震災を経験した実体験を交えながら、その思いを語った。
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出会うべくして出会った作品のように映る。気象災害によって脅かされる人命の救助に立ち向かうSDM本部（特別災害対策本部）の奮闘を描いた一作。玉田自身も「この作品に携わることができたのは、自分にとって大きなこと」と感じている。宮城県仙台市に住んでいた2011年3月11日。大地震で日常は一変した。市内は強い揺れに襲われ、自宅近くにも津波が押し寄せた。くしくも、震災前に海に近い地区から引っ越していたことで難を逃れたが、県内沿岸部に住んでいた父方の祖父母宅は、海の目の前。津波は直撃だった。祖父母といとこの母親、大切な肉親を失った。慣れ親しんでいたはずの自然が、脅威に変わる瞬間は忘れられるわけがない。
当時9歳。あの日から13年が経ったが「鮮明に覚えています」と振り返る。震災直後、避難所はどこも満員。いとこ家族と2日間、保育園の駐車場で車中泊。いてつく寒さの中、身を寄せ合った。「今過ごしている日常は当たり前じゃないと理解しているつもりです」。自然災害の恐ろしさは、身をもって知っている。 災害大国とも言われる日本。劇中でも、日常に起こり得る災害の恐ろしさが描かれる。第1話では雪崩の危険性が高まった雪山で、出口夏希（22）演じるSDM隊員が「（災害が）起きてからじゃ遅いんです」と必死で避難を呼びかけるも、「どうせ何も起きない」と聞き入れてもらえない一幕が描かれた。つい自然を甘く見てしまう、人々のリアルな思考。「出口さんのせりふが響きました。災害は『私は平気』『ここまでは大丈夫だろう』というのが通用しない。本当にこのドラマのせりふで言っている通り。いつ何が起こるのか分からない、というのは常に頭に置いて欲しいです」。演出やせりふに込められた真意をくみ取った。
玉田が演じるのは、災害発生時に現場に情報を伝えるSDM本部通信班の宍戸梨紗子。素早く的確に情報を伝えるという役柄。専門用語が絡む上、せりふは早口が基本だ。「常に全部難しいです。一言一句せりふをつぶさないように、滑舌良く相手に届ける意識で演じてます」。ハキハキとした発声を心がけ、表情筋から鍛え直し、外郎売りを反復練習。緊急時の切迫さを表現するため「おなかから低いトーンの声を」と工夫をこらす。現場には舘ひろし（74）真矢みき（60）らベテラン俳優がずらり。「バトンの大きさがすごい。『榛原さん』という山下さんの役名が難しくて。絶対に間違ってはいけないので一番練習しました（笑い）」。苦闘する様子には、充実感が同居する。
作品への出演で、自身も災害への関心がより強くなった。劇中では気象災害発生の背景などが、ストーリーに沿って解説される。「天気予報の見方が変わりました。どうして今日雨が降るんだろうとか、雲の形とかも関わってくるとかは『ブルーモーメント』をきっかけに知りました。常に傘を持って歩くようにもなりました」と変化を感じる。 役の特性上、長尺で画面に表情が映ることは少ない。自らが災害の恐ろしさを語るようなシーンもない。ただ、伝えたいことは明確に抱いている。「当たり前の日常を送れることの幸せ、いつ災害が起こるかは分からない。『ブルーモーメント』を通して、災害への向き合い方が伝わったらいいなと思います」。取材中、言葉が言いよどむことは一度も無かった。使命感にも似たその思いを、演技に乗せている。【望月千草】
○…4月25日に発売された、玉田のセカンド写真集「as is」（小学館刊）の発売記念イベントが、25日に東京・秋葉原の書泉ブックタワーで開催される。石垣島を中心に撮影され、爽やかな水着姿などを多数収録。作品タイトルには「ありのまま」という意味が込められており「うそ偽りのない今の私を映し出しています」と見どころを挙げている。
◆玉田志織（たまだ・しおり）2002年（平14）2月20日生まれ、宮城県出身。17年「第15回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞し、芸能界入り。19年テレビ朝日系「私のおじさん～WATAOJI～」で連ドラデビュー。24年同「離婚しない男－サレ夫と悪嫁の騙し愛－」にレギュラー出演。趣味はギターとカラオケ、特技はヒップホップダンス。163センチ、A型。
