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外国人受刑者急増!刑務所は「彼らのために」どのような工夫をしているのか?


どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

これまで、元受刑者へ取材をして刑務所の真実をお伝えしてきた《実録! 刑務所シリーズ》。様々な取材を経て、情報を拾い集め、執筆し続けてきました。

彼ら元受刑者の話を聞けば聞くほど、刑務所サイドの工夫や受刑者管理の難しさ、収監後の生活の矛盾点などがとことんわかってくるわけですね。

【実録! 刑務所シリーズ】
https://getnews.jp/search/%E4%B8%B8%E9%87%8E%E3%80%80%E5%88%91%E5%8B%99%E6%89%80

さて、今回は《外国人受刑者が増える刑務所の待遇》についてです。「そんなに外国人受刑者への待遇って大変なの?」というあなた、実は外国人受刑者との文化や習慣の違いを刑務所側が理解しておかないと、国際問題に発展するほど大切なことなんです。テーマは《刑務所は「彼らのために」どのような工夫をしているのか?》について。

お話をお聞きしたのは、刑務所での通訳を務めていた元国際専門官のSさん(47歳)です。彼は某刑務所で通訳のリモート対応をしていたといいます。今日は彼のお話を伺いました。

外国人特有の問題に目を向ける

丸野(以下、丸)「いろいろな制約がありそうなのですが、そのあたりはどうなのでしょうか?」

Sさん「手紙を出す、受け取るときも、もちろん内容のチェックは入ります。検閲があるわけですね。しかし基本的には、母国語で家族との面会や手紙のやりとりもできるますね。きちんと回数制限は決まっていますし、その点では他の受刑者と変わりません。このチェックのために、日本語への翻訳作業が必要な場合でも、受刑者本人には翻訳や通訳の費用負担を求めないと《刑事被収容者処遇法148条の規則33条・84条》で決まっています」

丸「基本的には無料で翻訳や通訳をしてもらえると……」

Sさん「初めは外国人受刑者の専門部署を栃木や府中、横浜、名古屋、大阪の刑務所に国際対策室を作ったのですが、外国人受刑者が増え続け、効率が悪いので、法務省が2017年11月に全国の刑務所124ヵ所にテレビ電話を使った通訳システムを導入しました。面会時の会話などに、昔は通訳スタッフが立ち会うこともあり、常駐スタッフのいない場合は面会曜日などを指定していました。それを親族や友人側に連絡しておくことで、面会がスムーズになります。しかし今では、刑務所や拘置所でもテレビ電話のシステムが普及したので、通訳を介して簡単に母国語で面会することが可能になりました

丸「コロナでリモートワークが当たり前になる以前から、そのような試みが刑務所や拘置所で行われていたんですね」

難しい食事問題

丸「一番難しい問題は会話などの言葉の問題だけですか?」

Sさん「それだけではなく、食事の問題があります。宗教上の理由によって、食べられないものがあるということが多いんですよね。しかし、そこは刑務所の配慮によって、対処してもらえます」

丸「たとえば?」

Sさん「宗教上の理由、食習慣の違いで、通常の刑務所の配食を摂ることができない外国人受刑者については、法務省矯正局の通達によって、通常の配食とは違う内容の食事を支給することになっています。例えば、麦飯などの米飯配食に代替食として、パンや麺類などの主食を用意してもらうことも可能です。これは、単なる習慣や嗜好によるものは認められないのです」

丸「単なる好みでは、対応してもらえないということですね」

ラマダンの断食にも対応

Sさん「一度、イスラム教徒の受刑者に相談を受けたことがありますが、申告をすれば《豚肉》は一切出ることはありません。さらに肉類も缶詰(ハラールフード※豚エキスが含まれた調味料やスープ、豚調理に使用した道具を用いてて調理された食材、豚を輸送したトラックや豚肉が入った冷蔵庫で保管された食材、豚肉配合の餌を食べた家畜、アルコールなどが入っていない食品)を出してくれます。また、ヒンドゥー教徒を申告すると《牛肉》は一切出ることがありません」

丸「現場も大変でしょうね、パニックにはならないんですか?」

Sさん「ええ、慣れたものです。さらにイスラム教徒受刑者からラマダン(ヒジュラ暦での第9月の日の出から日没までの間、ムスリムの義務の一つである断食を行う)の申し出があれば、日没後に食事できる配慮をしてくれる刑務所もあるようですね」

丸「へぇ、配慮が素晴らしい」

母国で受刑生活を送れる制度まである

丸「最後にお聞きしたところによれば、母国で受刑できるという制度があるということで……」

Sさん「日本には“刑を言い渡された刑の確定者の移送に関する条約(受刑者移送条約)”というものがあります。これは《欧州評議会条約112号》に当てはまるものなのですが、この条約に母国が締約していれば、一定の条件を満たすことで、母国で受刑生活を送ることが可能です」

丸「ははぁ、なるほど」

Sさん「この条約締約国は、タイ、ブラジル、オーストリア、オーストラリア、ボリビア、バハマ、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チリ、コスタリカ、クロアチア 、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ジョージア、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、リトアニア、ルクセンブルグ、マケドニア、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリスやアメリカの連合王国などがありますね。母国でも同じく犯罪として扱われている罪状については、日本と母国の同意で移送可能です」

国内の受刑者だけではなく、外国人受刑者の対応も一手に引き受けている日本の刑務所。その対応は多岐にわたります。アフターコロナが訪れ、日本の労働力低下が叫ばれている中、外国からの移民を受け入れるという政策案もありますが、さらに外国人犯罪が増える恐れもあるわけです。

それによってさらに求められる対応が広がる気配すらある刑務所の役割に感謝しながら、今回はこの記事を終わりたいと思います。

(C)写真AC
※写真はイメージです

(執筆者: 丸野裕行)

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