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働き方改革失敗例に学ぶ。労働時間を削減する際の注意点とは?


働き方改革とは、「一億総活躍社会の実現」に向けて、長時間労働の是正や多様な働き方を実現していく取り組みを指します。


企業レベルでも、残業の抑制やフレックスタイム制の導入等の動きが加速していますが、取り組みが社員の「業務効率化」や「生産性向上」に現れず、うまくいかないこともあります。


今回は、書籍『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』(上村紀夫著)より、働き方改革の一環として労働時間の削減に取り組む上で注意すべきことを紹介します。


失敗事例:これって働き方改悪?―労働時間削減によるマイナス感情の蓄積―



システムエンジニア職・Cさん( 29 歳男性)


好きな仕事を自分のペースでコツコツ極めたい“ザ・SE ”タイプ


 


新卒入社以来、労働時間が長い傾向があった。「顧客が満足するものを作るために時間がかかるのは仕方ないし、自分が好きだと思っている仕事ができるから、労働時間の長さは苦にならない」と話している。


しかし働き方改革の流れで、全社で労働時間削減を進めることとなり、残業時間に制限が入った。これまでのような働き方ができなくなり、やりづらさを感じるとともに、仕事への意欲が下がっていくのを実感している


 


失敗理由①:業務量が変わらないためストレスが増える


働き方改革に関連して、労働時間削減の動きが急速に広がっていますが、時間削減によって起きる社員のココロの動きについても、考慮したいところです。


労働時間を減らすことにより、「心身コンディション」が良くなることが期待されます。私が産業医として担当している会社の多くでも労働時間がこの数年で明らかに減り、身体的な疲労で苦しむ社員も少なくなりました。


その一方、多くの会社で起こっている現象として、労働時間を削減するよう言われるものの業務量は変わらず、業務時間内での業務濃度が濃くなり、精神的な疲労につながり、やる気の低下や離職につながるケースも出ています。


 


失敗理由②:今までののんびりした業務環境が無くなる


また、このケースのように、仕事がある意味“趣味化”してしまうと、会社に遅くまで残ってのんびりと仕事ができ、かつ残業代がもらえるという、本人にとっては天国のような環境が、労働時間削減という流れによって破壊されてしまい、「働きやすさ」や「働きがい」の低下をもたらす結果になることもあります。


ピラミッドの土台である「心身コンディション」にはあまり影響しないものの、最初は「働きやすさ」を低下させ、それが頂点にある「働きがい」を低下させてしまう結果となっています。


 


働き方改革を失敗させないために:まずは“社員の意識を変える”



[会社側]

今の時代、会社にとって労働時間削減への取り組みは不可避です。労働時間削減によるマイナス感情の蓄積を最小限にするためには、「長い時間働くことが良いこととされるのではなく、効率よく結果を出すことが求められる」と社員のマインドセットを変えることと、実際に業務効率改善を進めていく必要があります。


具体的施策は業種や状況によって大きく異なるため、ここでは扱いませんが、現場任せの労働時間削減はマイナス感情の蓄積につながることが多いことに注意が必要です。


 


[社員側]

社員にとっては、労働時間削減という時代の流れをポジティブに捉えることができるかどうかが重要な問題となります。


働く時間を減らす中で、いかにして自分の生産性を上げることができるか、それを「会社から無理やり迫られてやらされている」と感じながら行うのか、それとも「今後の自分の価値を上げるために必要なことだ」と思って行うのか、根底にある思いの違いで、受け取り方が大きく変わってきます。それがマイナス感情の蓄積度合いの違いとなって表れてきます。


時代の流れに合わせて何ができるのか、前向きな姿勢で対応しようとすることが、不要なマイナス感情の蓄積を防ぐ一番の方法であると考えます。


 


書籍紹介:『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』


 



【目次(一部抜粋)】


序章 なぜ組織は「病んでいく」のか?


離職・モチベーション低下・メンタル不調など、「人」にまつわる問題が増えてきた――


その原因は、不安、疲労、怒りなどの「マイナス感情」を感じる社員が増えていること。


これは、業績はもちろん、組織の存続をも脅かしかねない重大な問題です。


組織は、対処法を早急に見つける必要があります。


第1章 マイナス感情の感染メカニズム


社員のことを大切にしているはずなのに、不平不満が止まらない……と悩んでいませんか。


「何にマイナス感情を抱くか?」は、人それぞれの価値観に大きく左右されます。


この問題を意識せず、やみくもに人事施策を打っているために、かえって逆効果になっている組織が多くみられます。


第2章 マイナス感情の発症メカニズム


業務負荷増加、働き方改革の強制、希望にそぐわない配属や昇格、長期間の教育担当……


社員が「病む」プロセスには一定のパターンがあります。


本書では、マイナス感情の発生対象を「個人活性3要素」=「心身コンディション・働きやすさ・働きがい」の3つに分けて解説します。


第3章 マイナス感情の伝染メカニズム


メンタル不調者続出の『砂の城』系組織、疲弊感に蝕まれる『やりがい搾取』系組織、ぶら下がりが経営課題『ぬるま湯』系組織……


組織が「病む」プロセスにも一定のパターンが。


組織の活性度を考える上では、「個人のマイナス感情が周囲に影響し、連鎖反応が起こる」=「伝染」の影響をよく検討する必要があります。


第4章 組織活性化のための「ターゲティング戦略」


全員を救おうとする施策は、むしろ誰も救わない結果に陥りがち。


組織戦略を実施する際には、「どの層のマイナス感情を解消すると、効率よく組織課題を解決できるか」を検討することが必要です。


組織の人材をセグメント分けし、優先順位をつける方法を具体的に解説します。


終章 「社員を幸せに」する前にやるべきこと


社員の幸福度が上がれば、問題は解決するのでしょうか。


これまでの振り返りと、「社員の幸福を上げる施策とターゲティング戦略の関係性」について考えていきます。


さらに巻末特別収録として、自分の組織の活性度がわかる組織の分類法を掲載。


詳細はこちら:『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』(amazon)


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