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VRが事故現場での救命トレーニングに活用される


VRでトレーニングする救急救命士


医療現場でVR技術が利用される例としては、医師や医学生が手術の準備に使うものや、患者への説明に使うものがある。


また、患者がVRコンテンツを視聴することもある。リラックスすることで痛みが軽減されたり、映像を見ながら身体を動かすことでリハビリになったりと、使いみちは様々だ。


他にも、VRで事故現場を再現することで救急救命の技術を高めるという利用法もあるようだ。カナダのオンタリオ州では、VRで再現された事故現場を舞台にした救急救命士の競技会が行われた。


VRで事故現場を再現する


タイムキーパーも居る


通常、手術の前には入念な準備が行われる。患者の状態を確認し、経験の豊富な医師やスタッフに相談し、VRでのシミュレーションやイメージトレーニングで手順の確認を行ってから実際の手術が行われる。


だが、事故は突然に起きる。大きな事故の現場では、複数の場所から助けを求められることも多い。緊急性や助かる可能性を考えて、救助の順番を決めなくてはならない。同時に、自分自身やチームの隊員を危険に晒さないように、周囲に気を配る必要もある。


これまで、こうした事故を再現するには役者に患者役を演じてもらったり、医療用のマネキンを使ったりといった方法が取られていた。


多発事故(MCI)の難しさ


シンプルな事故であれば、考えることは多くない。ハンドル操作を誤った自動車が自損事故を起こした、というのであれば被害者の数は限られる。


救助に当たっては、事故に巻き込まれたそれぞれの人を確認して、順に進めることができるだろう。マネキンを使ってのシミュレーションも、難しくない。


だが、多くの人が列車事故に巻き込まれたとしたら事情が違ってくる。


パース郡の救急医療隊長を務めるLinda Rockwoodは、多発事故(MCI)に対処するトリアージ・オフィサーの難しさを指摘する。


「MCIへの対処はとても困難です。このシミュレーションは、MCIにおいて最も難しい役割の一つであるトリアージ・オフィサーを、誰もが経験できるようにしてくれます」


トリアージ・オフィサーは、事故現場で被害者の状況を把握し、治療の優先順位を付ける役割だ。トリアージは、治療・搬送とともに災害時医療で最も重要な要素の一つとされている。


トリアージ・オフィサーの判断が被害者の生死を決めることも、十分に考えられる。危険な状況の中でも冷静に、かつ素早く判断を下さなくてはならない。


加えて、こうした事故をシミュレーションして訓練するのは難しい。多くの人が被害者役として参加することになるからだ。頻繁に行える訓練ではないため、大規模な事故でのトリアージ・オフィサーという立場を訓練で経験できる隊員は少ない。


VRであれば、どんな事故でも安全・安価に再現することができる。


トレーニングを変えるVR


VRの画面を示す男性


この日、オンタリオ州全体の救急救命士たちがパース郡に集まった。彼らはVRを使って、事故現場での救急スキルを競うコンペティションに参加したのだ。


VR技術を初めて救急救命のトレーニングと結びつけた企業、VR SolutionsのCEOであるCraig Calverは「これは世界初の試みです」と語る。


VR Solutionsの始まり


Calver自身も、救急救命士だ。2012年、オンタリオ州のホムステッドにある彼の自宅の前で衝突事故があった。彼がこの会社を立ち上げたのはその後だ。


彼は現場へ駆けつけ、その悲劇からいくつかの教訓を得たという。


「現在のトレーニングには、多くの欠点があることに気が付いたのです。『こういった事故に備えるためには、どのようなトレーニングを行えば良いのだろうか』と考えました」


Calverと彼のチームが辿り着いた答えがVRの利用だった。


最新技術がもたらすもの


この日、競技会には州内のあらゆる地区から集まった16のチームが参加した。彼らの前で、衝撃的な事故シーンや、病気の赤ちゃんを抱えて母親が慌てる場面がVRを使って示された。


パース郡の救急医療サービスの副代表であり、このイベントを主催したHillary Hendersonは、「VRを使ったトレーニングに参加する隊員たちの様子がこれまでのトレーニングとは異なる」と語る。


VRならではのリアリティと没入感が彼らを真剣に取り組ませるのだろう。


ナイアガラ救助隊のTracy Groszeiblは、「VRを使ったトレーニングが実践でないと伸ばしにくい技術を伝える助けになる」とコメントしている。


事故現場に残る危険のきっかけに気づくスキルや、不安になった人を落ち着かせるための対人スキルは講義のような形で教えるのが難しい。


VRを使ったトレーニングを積むことで、経験の浅い隊員でも緊急事態に落ち着いて対応できるようになるだろう。


VR空間で働く隊員たちの様子を外部のベテランが見ることで、不足している部分も見えてくる。これは講習の充実にも繋がりそうだ。


通常経験することがない環境で働く救助隊員にとって、VRによるシミュレーションはトレーニングを大きく変える方法だ。


 


参照元サイト名:Stratford Beacon Herald

URL:http://www.stratfordbeaconherald.com/2017/04/21/perth-county-ems-hosts-first-ever-virtual-reality-simulation-competition-with-participants-from-all-over-ontario#


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