日露関係の悪化
Sasa Dzambic Photography / Shutterstock.com岸田政権はプーチン大統領及び政府関係者の資産凍結に加え、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの特定銀行を排除し、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させるための一連の措置に参加することを決定した。バイデン大統領も日本の一連の対応を評価している。しかし、それによって日露関係の悪化は助長された。
プーチン大統領は3月、ロシアが実効支配する北方領土へ進出する企業に対して、20年間に渡って税金を優遇する措置を盛り込む法案に署名。プーチン大統領は長年北方領土の経済開発を重視してきたが、この関係悪化は短期的に終わる見込みはなく、数十年単位で捉える必要がある。
日本企業に与える影響とは?
Shutterstock.comでは、今後日本経済にはどのような影響が考えられるのだろうか。まず、この戦争が短期的に終わるものであれば、ロシアへの経済制裁も徐々に解除され、現地に進出する日本企業も営業再開や駐在員の再派遣などを実施できるだろう。しかし、上述したようにロシアへの経済制裁は来週や来月に緩和されるものではなく、石油や小麦、漁業などロシア経済に深く依存する企業にとっては極めて重い問題である。
筆者周辺の企業関係者からは、戦争が長期化するのであればロシアからの事業撤退を真剣に考えなければならないという人もいれば、ロシアへの依存度が大きい分それを他国で代替することはできず、情勢が厳しいなかでもこれまで通り続けるしかないという人もいる。実際の判断は企業によって異なるが、1つ言えるのは、ロシア経済への依存が少ない企業、ロシアから第3国へシフトチェンジできそうな企業と、ロシア経済から脱皮できない企業との間では大きな違いが見られるということだ。
ロシアに展開していない企業にも影響は及ぶ
Shutterstock.comまた、ウクライナ戦争はロシアに展開していない企業にも影響を与えている。
たとえば、欧州には多くの企業が進出しているが、英国やフランス、ドイツなどと日本を結ぶ国際線フライトはロシア上空を通過してきたが、緊張悪化によってロシア上空を避け、北極海や中央アジアを迂回するルートを余儀なくされている。一部の航空会社は日本へのフライトを停止しており、欧州と日本の行き来に大きな支障が出始めている。
今後もウクライナ戦争による日本企業への影響は拡大することだろう。