多くの飼い主さんは頻繁に猫とじゃれ合って遊ぶことでしょう。猫と飼い主さんでは体のサイズが全く異なりますので、猫同士のように身体全体でもみ合って遊ぶことはありません。
そうなると自然と手など体の一部で遊ぶようになります。しかし、有識者たちの間では必ず「猫と手で遊ぶのはダメ」といわれます。なぜダメなのでしょうか。今回はその理由をご紹介します。
手で遊ぶことと噛み癖との関連性がはっきりと理解できるなら正しく対応できます。この点も解説します。
やってしまいがちな行為
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猫と手で遊ぶのがなぜダメなのかについて考える前に、まずは飼い主さんがやってしまいそうな猫との手遊びについて解説します。また、手で遊んでいるときに生じるちょっとしたトラブルもご紹介します。
手を猫じゃらしのように使う
猫のおもちゃといえば「猫じゃらし」が代表的です。動くものが大好きな猫の前で、毛虫のような猫じゃらしを動かしてあげて遊ぶのは実に楽しいものです。猫は必死に猫じゃらしを捕まえようとするので、ストレス解消・軽い運動としても効果的です。
同じような感覚で、手を使う飼い主さんもいらっしゃることでしょう。手のひらを動かして、まるで生きている虫や動物のように目の前で動かします。
そうすると猫は飼い主さんの手に興奮して、同じように手を捕まえようと遊び始めます。
猫の抱きつきや甘噛み
飼い主さんが何もしていなくても、猫の方からアクションを起こすことがあります。例えば腕にがっしりとしがみついてきたり、その時に甘噛みしてきたりします。
爪や甘噛みはそこまで痛くないので、ついつい猫のしたいように放っておく方も多いはずです。そのまま延長線上で遊び始める方も少なくありません。
オーバーリアクション
手を使った遊びをしていると、時に強く噛みつかれることもあります。そのような時に「遊びの最中だからしょうがない」と考える人は少なくないはずです。
また、いわゆるオーバーリアクションをして「痛い!」「やめて!」などと猫にアピールすることもあるはずです。
しかし、このようなリアクションは猫には伝わっていません。むしろ猫を楽しませてしまっています。猫にとっては「ちょっと強く噛めばリアクションするおもちゃ」というわけです。
猫と手で遊ぶのがダメな理由
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ここまで紹介したような行動は、多くの飼い主さんが一度は経験したことがある「遊び」のはずです。しかし、一見すると問題なさそうなこのような行為は実はNGです。ここでは、猫と手で遊ぶのがダメな理由をご紹介します。
「手=噛んでもいい」と考えるから
飼い主さんが猫と手で遊んでしまうと、猫たちはそれが「良いこと」だと考えます。おもちゃを与えられた猫が遠慮なく遊び続けるように、「人間の手=おもちゃ」だと考えるようになるのです。
そうなると、当然「人間の手=噛んでもいい」と考えるようになります。
これは子猫同士が行うじゃれ合いとは全く別物です。じゃれ合いは互いにかみ合うことで甘噛みの限度を知ることにつながりますが、人間の手で遊ぶだけでは自分が噛まれるわけではないので、限度が分かりません。
動いている手に対して狩猟本能を感じるから
さらに人間の手で遊ぶようになると、動いている手に対して狩猟本能が働きやすくなります。
猫は動いているものすべてに飛びつくわけではありません。しっかりと獲物かどうか判断しているのです。
人間の手で遊ぶなら、人間の手が動く獲物として把握されてしまいます。飼い主さんという存在ではなく「動く何か」「捕える相手」などと考えてしまいます。
噛み癖がつくから
上記のいくつかの要素が重なりあうことで、噛み癖が徐々につくようになります。
特に子猫時代に手で遊ぶことを許してしまうなら、完全に手に対する噛み癖がつき、大人になって矯正することは難しくなります。
誰かをケガさせる可能性があるから
手への噛み癖は、飼い主さんたちだけの問題ではありません。他の人の手に対しても咄嗟に噛みついてしまう恐れがあります。
小さい子供であれば大怪我に繋がる場合もありますから、絶対に噛み癖をつけさせるべきではありません。
噛み癖をつけないためには?
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では、どのように噛み癖をつけないようにできるでしょうか。まず、日ごろからよく遊んで猫のストレスを溜めないようにすることが大事です。
また、子猫相手でも手で遊ばないようにし、おもちゃで遊ぶことを徹底してください。仮に手に噛みついてきた場合は、それが甘噛みであっても「痛い」「ダメ」などの短い言葉を発して、すぐに手を引くようにしてください。
その後しばらく手は隠して、猫が落ち着くのを待ちます。猫が落ち着いたなら、おもちゃを使って遊んであげます。
地道ですが、続けることで噛み癖をつけないように訓練できます。