スターウッドホテル&リゾーツワールドワイドは、中国の安邦保険グループ(Anbang Insurance Group)を中心とするコンソーシアムから受けていた買収提案が取り下げられたと発表した。これにより、マリオット・インターナショナルによる買収が確定することになる。


マリオットは当初、122億ドルでのスターウッドの買収で合意していたものの、安邦保険グループが金額を上回る提案を行ったことから白紙化。米中買収合戦となっていた。安邦保険グループの撤退で、マリオットが最終的に提示した136億ドルでの買収提案が確定する見込み。スターウッドの株主は、安邦保険グループの買収提案によって買収額が引き上げられたことで恩恵を受けたものの、株価は5%以上急落している。


マリオットは設立当初、機内食の製造・販売を手がけており、1957年に初のホテルをアメリカ・バージニア州のアーリントンにオープン。1993年にはホテル運営会社となり、2014年にはアメリカ・ワシントンに4,000軒目のホテルをオープンしている。1995年にはザ・リッツ・カールトンLLC、2015年にはカナダのデルタホテルズの株式を取得するなど、買収により企業規模を拡大してきた。スターウッドは約100カ国に展開し、約18万人が働く世界有数のホテルチェーンで、セントレジス、ウェスティン、シェラトン、トリビュートポートフォリオなどのブランドを展開しており、マリオットにとって過去最大規模の買収となる。


安邦保険グループは、中国の保険業界販売などを行うグループ企業。総資産は8,000億元(約14兆円)で、中国31の省市自治区に3,000以上の店舗を展開。顧客は2,000万人以上、海外資産会社も保有している。2014年にはニューヨークの老舗ホテル「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」を19.5億米ドル(約2,217億円)で買収するなど、ホテルへの投資を強化。一方で、中国企業の買収で機密情報の盗聴など安全面を懸念する声も大きく、2015年9月にオバマ大統領は、これまで定宿としてきた「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」への宿泊を見送っていた。


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情報提供元: Traicy