約2か月前の9月、「西成はコロナ禍でどう変わったか?」という記事を書いた。中堅ホテルは価格変動がほぼ無いものの、1泊2,000円台のいわゆる“高級西成ホテル”は一般的な市中ホテルの値下がりの煽りを受けて、必然的に1,000円台へと値下がり傾向が見られたという内容であった。



その後、10月からは東京都民もGo To トラベルキャンペーンを利用できるようになり、さらに状況は変化したと思われる。ただ、この記事を書いている11月23日時点では、感染者急増のためにGo To トラベルキャンペーンの休止などが議論されている最中。そのため、状況は日々変わることは間違いないが、ひとつの事象として、今回宿泊した西成の様子をご報告したい。








2020年11月某日、僕はまた大阪の“ドヤ街”とも言われる西成地区の最寄駅のひとつである、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)動物園前駅に降り立った。午後5時すぎ、地上に出れば、夕暮れを迎え、以前とは打って変わって、静かな西成の光景が目の前に広がっていた。というのは、大阪でも新型コロナ感染者数が一日300人を超えたとかで、再度、特に夜の自粛ムードが高まっていたというわけ。1年前にはインバウンド需要もあり、むしろ日本語が聞こえないほど海外からの旅行者であふれかえっていた通りも、まさに閑散という表現がぴったりの状況になっていた。





そんな中、今回の宿泊するホテルは、動物園前駅3番出口の目の前。ほぼ直結ともいえる「ホテル中央クラウン」だ。創業は昨年、2019年7月。太子交差点の北東角に位置する10階建ての新しいホテルで、ホテル中央セレーネ、オアシス、ブリッジなどと同系列。以前から大阪に宿泊する時は西成を選択していた僕ゆえに、工事中の時からずっとホテル建設を眺めていた。なにせ太子交差点角という西成随一の“一等地”。もともと交番などがあった場所が区画整理され、ホテルへと変貌したのだ。





もっとも、僕は「ホテル中央クラウン」には宿泊することがないだろう、と思っていた。というのは、西成のホテルといえば「3畳一間、バストイレ共同」が通常スタイルで、価格も1,000円台~2,000円台。だが、こちらは1泊4,000円~といった具合。そもそも3畳一間バストイレ共同ではなく、4畳半程度の洋室にユニットバス&シャワートイレ付き。他の地域であればお値打ちに感じるのだろうが、ここは西成。絶対的な価格の安さに惹かれて他のホテルに宿泊してしまうのだ。



ところが、昨今のGo To トラベルキャンペーンである。僕もお得な大阪市内のホテルを探し続けた結果、灯台下暗し的に見つけてしまった。なんと1泊120円(税込)!!





結論から先に言おう。額面は1泊4,800円(同)なのだが、Go To トラベルキャンペーンで35%分の1,680円引きとなり3,120円。さらに地域共通クーポン1,000円が貰えるので、実質2,120円となる。通常だとここ止まり。しかしこのプランは2,000円分の券が付く。なので、実質120円で宿泊できることになる。





ホテル自体が築まだ1年ゆえに、外観も内観も清潔、ピカピカといった感じだ。感染対策にも気を使うフロントには、もちろんアルコール消毒スプレーなどがある。フロントの方も丁寧にシステムを教えてくださり、もう「爽やか」という言葉がぴったり。もはやホテルに一歩、足を踏み入れれば、そこは西成ではない(笑)。





「大阪コロナ追跡システム」の利用の仕方が掲示されたエレベーターで部屋へと向かう。廊下ももちろん清潔感が漂い、シックで機能的な雰囲気を感じる。部屋の鍵はカードキーを採用。





ちなみにホテル玄関は24時から朝6時まではロックがかかるが、カードキーにて24時間出入りOK。これも門限が23時や24時という西成のホテルがわりと見受けられる中、高ポイントといえよう。





部屋は、通常素泊まり4,000円だとしても、清潔感とある程度の広さもあるゆえに、適正というよりお得感がある。





薄めだがバスタオル、ボディタオル、そして浴衣的なガウン、紙スリッパ、そしてハンガーも3本。





テレビや冷蔵庫、エアコンのほか、ドライヤーや歯ブラシなども揃う。





シェーバーやくしなどは部屋には無いが、フロント脇に置いてあり、必要な分は無料で貰えるシステム。



一番、驚いたのは、コンセントの差込口の数。なんと7個も使用可能である。最悪で1個しかないようなホテルに宿泊している僕なので、いわゆる“タコ足”といわれる「1個を3個にできるコンセント」を持ち歩いている僕だが、7個もあったら充分。というより、そんなに必要無いのでは?(汗)





せっかくなのでバスルームにお湯を張り、ゆっくりと湯船に浸かることにした。ユニットバスとはいえ、このクラスの価格設定のホテルでは、こうはいかない。だが、こちらは清潔感漂っているわけだ。全くカビ臭く無く、まさしく快適。その日の疲れが一気に吹き飛んだ。





しばし堪能した後、館内を探索することにした。館内はガウンで往来できそうだったが、ちょっと理由があり、私服で向かった。





1階には大きなコインロッカーが設置されていた。部屋は個室でバストイレ付なので必要なさそうな気がするが、これは宿泊者ならばチェックイン前やチェックイン後でも荷物を入れられるという利点がある(実質無料で使用可能)。





洗濯機&乾燥機のコインランドリーも電子レンジもあるので、長期滞在にもよさそう。





新聞も無料で読め、ノートパソコンまで使用できる。そして、コーヒーなども無料サービス。朝食会場がないのに朝食付きプランがある!と思ったら、近所の飲食店「宮本むなし」と提携している模様。





そんな快適な「ホテル中央クラウン」だが、前述のとおり地域共通クーポン1,000円に加えて2,000円分の券が付いてくるプランだ。地域共通クーポンは大阪府などで使用可能だが、この2,000円分の券は、ホテル1階に併設されている「ファミリーマート」のみで使用可能というもの。よくあるクーポン券と同様で、クオカードなどの金券購入は出来ないものの、たばこやアルコール類などはOK。





ちなみに「ファミリーマート」にはホテル内から入店できるが、カードキーが無いと戻れないシステム。





Go To トラベルキャンペーンが始まり、地域共通クーポンが、そのホテルの売店でも使用できるが、たいしたお土産などが無いという事が時々ある。「ファミマといっても小規模で、品ぞろえが悪くてあまり使えないのでは?」という不安がよぎったが、実際には逆に通常よりも広くて、さまざまな商品がたくさんあって驚いた。



もっとも僕は毎晩のようにハイボールを飲むゆえに、どこに伺っても地域共通クーポン券は「ブラックニッカウイスキー」に替えてしまう。こうなると恩恵というよりも、もはや仕入れのようである。瓶のタイプしか売っていないことを想定して、持ち帰りが楽なように移し替えるのを前提で、空の500ミリリットルのペットボトルも6本程度、持参している(大汗)だが今回は、なんとコンビニでは滅多に置いてない、2リットルペットボトルタイプのブラックニッカがあり、重宝した。



地域共通クーポンを合わせると、合計3,000円分のクーポンがあるので、炭酸水や氷と合わせて合計3,061円分を購入。端数は現金のみという縛りがあったので、61円を現金で支払った。





いつもならば、西成の街に飲みに繰り出すところだが、大量のお酒などを抱えて、僕はまた部屋へ戻り、部屋飲みとなった。僕は、さらに得をした気分になった。





翌日も天気は晴れで、爽やかな朝を迎えた。そういえば立地は太子交差点の角で、動物園駅のほか、JR新今宮駅も目の前。というよりも、そもそも線路脇。なのに大して騒音が気にならないと思い、窓を開けたら、2重サッシになっていた。あらゆる計算づくしのホテルに敬服まで覚えた。





再度、新型コロナ感染者が激増した昨今、おそらく大阪ではもはやGo To トラベルキャンペーンの恩恵が限定される事態となるだろう。しかし、全国レベルではまだまだお得なシステムが残るはず。感染防止に最大限の気を使いながら、今後も利用したい。



■プロフィール


はんつ遠藤


1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「Ontrip JAL」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊

情報提供元: Traicy
記事名:「 西成の”一等地”で1泊実質120円の宿を満喫「ホテル中央クラウン」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(3)】